異分野・異文化組織の舵取り(大学教員)

元留学生。日本初のテニュアトラック制度で研究室を立ち上げました。異文化・異学問の協働を通じて、次世代教育に貢献することを目指しています。工学を応用して、資源、水、食、大気環境などの社会問題にチャレンジしています。

異分野・異文化組織の舵取り(大学教員)

元留学生。日本初のテニュアトラック制度で研究室を立ち上げました。異文化・異学問の協働を通じて、次世代教育に貢献することを目指しています。工学を応用して、資源、水、食、大気環境などの社会問題にチャレンジしています。

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多様性と自己決定力:グローバル人材育成の道

 歴史の転機に立つとき、運命を受け入れ、リスクを取る勇気が必要です。私の経験から、多様性と選択肢について学ぶことの重要性を強調したいと思います。  高校卒業後、私はインドネシア・バンドン工科大学(ITB)の物理工学科に進学しました。しかし、父の他界と公費留学の合格が重なり進路に迷いましたが、ITBを中退して留学することにしました。そして、化学工学という専攻と派遣先の国・大学が指定されました。母国で複数の言語を習得していたものの、5つ目の言語である日本語の習得に1年半を要しま

    • 成績は就職先を決めない - 研究室が実践する学生中心の教育

      こちらは、2024年4月に更新された研究室の卒業生の就職先をまとめたものです。 化学素材、建設、半導体・精密機器、食料品、自衛隊等の公務員、大学の化学系、生物系、物理系教員など、多様な就職先となっています。 English version: Alumni’s Fields 卒業生の就職先 – Particles & Transfer (empatlab.net) 2024年4月に新たに加えた組織を紹介します。四人の修士と博士修了生は、食品プロセスの伊藤ハム、日産化学、光学機

      • 専攻長として卒業記念パーティの締めの挨拶

        English follows Japanese 卒業・終了の皆さん、おめでとうございます。 この特別な機会に、一言述べさせていただきます。 これまでに、エネルギーとその効率を学んできた皆さんへ、 仕事の生産に重要なスキルを少し紹介します。 ただし、エネルギーのほかに注意力の管理も欠かせません。 具体的には、  1)時間管理ではなくエネルギー管理に集中する  2)予定を少なくすると生産性が上がる:予期せぬ課題に対応する余裕を残す 3)不完全主義を受け入れる:

        • 私たちの欠点は弱点ではなく、むしろ私たちの存在のユニークな一面です

          From "Love for Imperfect Things" Haemin Sunim 自分の欠点を受け入れる:世界は完璧さを求める場所ですが、私たちの欠点は弱点ではなく、むしろ私たちの存在のユニークな一面です。陶器のひび割れが美しさを引き立てるように、私たちの欠点も深みと個性を加えています。 自分に対する思いやり:私たちはつまずいたり迷子になったりすることもあります。しかし、他人に優しさを示すように、自分自身にも同じ思いやりを持つことができます。 ゆっくりと味わう

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        • 研究室紹介
          7本
        • エッセイ
          10本
        • interviews
          2本

        記事

          各人には毎日24時間が与えられている

          From NEVER ENOUGH (2023) 各人には毎日24時間が与えられている。その時間をどこに投資するかは自分で決める。「地位の高いキャリアやお金のような物質主義的な目標を追い求めると、社会的なつながりに投資する時間を奪うようなことに時間とエネルギーを投資するようになる。要するに、私たちは自分の健康を守るために、起きている時間の過ごし方に気を配らなければならないということだ。子供たちにも同じことが言える。Each person gets 24 hours each

          各人には毎日24時間が与えられている

          迷うのはいい。自由になるために迷うのです。

          大学2年生の学生が東京農工大学教授にインタビューした記事です。 【学生】今、学生の皆さんに向けて伝えたいことは何ですか? 【教授】農工大の「農」と「工」って二つではあるのですが、それぞれの中の組み合わせは様々で十分すぎるくらいに可能性があります。自由度を表す有名な式で、「エントロピー」に関する式があります。この式を学生生活で用いて考えることを教えたいです。大学生になると、高校の時と比べて自由になります。しかし、一日は24時間です。勉強・友達・サークル・家族などどれに何時間ず

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          研究は「道具」になる!大学で直接体験から学ぶ力を育てる

          大学では学ぶ人(学生)が主役です。研究を「道具」とすることで、学生が成長するための効果的な学びが得られます。大学は組織的に学生の成長を支援する役割を担っています。 研究室は、学生が知識・スキルを自分で生み出すための仕組みを提供するところです。文献や指導教員の助言は大切ですが、あくまでも手がかりにすぎません。 本当に「使える知識・スキル」は、学生自らの直接体験を通して得なければなりません。自転車の乗り方を「学習」するために、転びながら練習することが必要なのと同じです。

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          間違った決断をすることができる場所を探す?成功につながる経験の作り方【Q&A】

          Q: 成功の秘訣は何ですか? A: 正しい決断をすることです。 Q: どうやって正しい決断をしますか? A: 経験を通じて学ぶことです。 Q: どうやって経験を積みますか? A: 間違った決断を恐れずに挑戦することです。 Q: 間違った経験を得るにはどうすればいいですか? A: 間違った決断をすることができる場所や環境に出会うことです。 “If you want to be successful, I would encourage you to grow a

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          「速い」企業研究から「遅い」学際研究へ:基礎研究の新たな可能性

          近年、日本の企業は、基礎研究を大学に委託する傾向が強まっています。材料プロセスと微粒子工学の専門家である私は、広島大学で9年間、微粒子工学系の研究室で、20社以上の企業と共同研究を実施しました。その中で、LEDや二次電池の原料となる機能性材料の開発に取り組みました。ほとんどの企業が四半期決算制度を使用しているため、それらの共同研究は、企業のスケジュールに合わせた「速い」ものでした。「速い」スケジュールを維持するために、私たち教員はマイクロマネジメント型の指導を行いました。その

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          (研究室紹介2022)農学のための微粒子工学:材料合成から環境・生物応用まで

          1.研究室の概要 2007年1月に(国立大学法人)東京農工大学で研究室を立ち上げ、これまで50名以上が卒業・修了し、多種多様な分野で活躍している。現在(2022年)は14 名の学生(卒論生3名,博士前期5 名,博士後期6 名)が在籍している。 2.研究内容 微粒子工学が専門である。気中または液中に浮遊する粒子の挙動に着目し、粒子材料の省エネ型の製造法とその量産化やナノ粒子の粒径計測・熱分析法を提案してきた。 研究室の教育研究方針は、地球規模の社会問題(資源、水、食料生

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          ノーベル賞受賞者が使用した実験室

          2000年に米国Yale(イェール)大学で数か月間、研究をする機会をいただきました。そのとき与えられた実験室は、その2年後にノーベル賞(2002年、化学)を受賞したFenn教授が過去使用していたもの(写真のMason Lab, 1Fにある実験室)であり、光栄に感じました。 全米のトップ大学には華やかなイメージがありましたが、このような実績のある研究室でありながら、意外にもシンプルな様子に驚きました。実験室でまず目に入ったのは、数多くの引出しがある棚でした。その中にはきちんと

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          日本の教育に留学生がもたらす価値: An Investment in the Future

          私は政府派遣奨学生として日本の魅力を知らないまま来日し、日本語学校、学部、大学院を経て、教員という立場となりました。学部生の時は日本になじめず苦労しました。 各国からの留学生や外国人研究者を受け入れるようになった今疑問をもつようになったのは、多くの大学等の機関が留学生を受け入れる目的を、留学生は日本を選び留学する目的を、深く考えないまま、政策主導で留学生が増えている現状です。長期的なビジョンがないまま、プロジェクトや大学のメリットのために「使える人材」として留学生を獲得する

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          見えない敵を排除?0.3μm以下の物質がもたらす安心生活

          人間の目に見える波長は300から800 nmまでとされ、0.3μm以下の物質は肉眼で見えない。省エネ型照明素子の白色LEDに使用される蛍光体粒子の場合、工業的にbreak-down型の粉砕法で製造された数μmの粒子(粉)が使われている。理論的には0.3μm以下の蛍光体粒子を使えば、光の散乱が減り、LED素子のエネルギー効率が高まると考えられる。しかし、粉砕(微粒化)を用いた物質の微細化には高いエネルギーが必要なうえ、0.3μm以下のLED用蛍光体の開発は今でもホットな課題であ

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          適正技術の研究教育で世界の課題解決に挑む

          私がエアロゾル(気体中に浮遊する微粒子)の研究と出会ってから約10年が過ぎた頃のことです。「ナノ粒子」国家プロジェクトに関わる中で自分たちが開発する「テクノロジー」はどの国のモノとなるかが気にかかるようになりました。日本から24時間以上離れたある鉱物の採掘現場に足を運んだとき、そこで暮らす人々の生活や環境破壊を目にしました。一方、研究開発サイトである日本では、鉱物成分を用いた材料の性能を向上することであり、そのゴールは自動車や携帯型電子機器の性能向上であるという現状に疑問を感

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          研究者のジレンマ:技術開発と環境保護の両立

          電子材料の研究開発が速い 私は25年前から微粒子工学を研究してきました。 1998年から2006年まで、私は(日本人の)教授が大学の研究グループを運営するのを補佐しました。 この間、インドネシアからの博士課程後期の学生の受け入れるルーツを再開する機会が与えられました。 2001年から2006年は、ナノ粒子に関する国家プロジェクトに関与した10社の約15人のスタッフを含む40人以上の構成員で最も忙しい時期でした。 日本の経済産業省が資金提供するこの国家プロジェクトは、電子材料

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          多様性を活かす研究室づくり

          東京農工大学で研究室を立ち上げた時(2007年)から、異分野や異文化を含んだ多様性のある研究室であるよう心掛けてきました。以前は私自身が外国人であり異文化であることは弱みであるとしか感じられませんでしたが、今はアイデンティティの一つとして認められる時代になったと感じています。  研究室の多様性を維持するのは簡単ではありません。博士課程前期(M)や学部卒論生(B)は内部進学者であることが多いので、必然的に博士課程後期(D)の学生が主に外部からのメンバーとなります。前に勤めてい