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伴大納言絵巻 と 信貴山縁起絵巻

 タイトルであげた2点に加えて「源氏物語絵巻」と「鳥獣人物戯画」を総じて「四大絵巻」と称するが、この手の呼称の常としてこの4点は全く性格が異なる。中でもこの「伴大納言絵巻」と「信貴山縁起絵巻」は、「読み手が自分でそれを繰り出しながら好きなところで止めて見入ったり、巻き戻してみたりしながら鑑賞する」という巻物の特性が非常に良く現れた作品。そこで繰り広げられるスペクタクルは現代の映画やマンガにも全く引けを取らない。
 
 巻物に絵を入れたものは中国の胡笳十八拍図やビザンチンのJoshua Rollなど海外にも見られるが、巻物を操ることと連動させてストーリーと動きを伝える手法においては日本のものがいちばん洗練されているように思う。

 残念ながら今ではこれらの作品を「巻物」の形で鑑賞することは難しいので、デジタル修復のうえ好きな処を拡大できる横スクロールのコンテンツとして提供されれば文化資産として有用と考えている。古い作品なので絵のダメージが大きいのははいかんともしがたいが、いまだに多くのクリエーターを刺激し続けるパワーに是非とも触れてみてほしい。

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