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映画観賞会 ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒
こんにちは。熊川長太郎です。
今日ご紹介するのはミッシング・リンク。公開は2019年、スタジオライカのストップモーションアニメです。ストップモーションって何でしょう?人形をちょっとずつ動かして1コマずつ撮影してそれをつなげて動きにするトリックのことです。この手法は映画が始まった頃から使われていました。ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」が1902年、1933年にはウィリス・オブライエンが「キングコング」を、1953年にはレイ・ハリーハウゼンが「原子怪獣現わる」を公開しました。どれもストップモーションのトリックを使った楽しい映画でした。特殊撮影は昔から映画の重要な手法のひとつだったんですね。日本では人形のコマ撮りじゃなくて着ぐるみを着せてゴジラを作っちゃったのが面白いところですよねぇ。
そのストップモーションにCGを合わせてつくったのがこの「ミッシング・リンク」。大きなおサルさんみたいなのが出てくるんですけど、表情も動きもとてもスムーズで、ちょっとお人形さんには見えないです。見事ですねぇ。このおサルさんとちょっとプライドが高くていやなところもある英国男がアメリカやヒマラヤに探検に行くお話しですよ。この英国男、鼻がとんがっていて目が顔のずっと上の方についていて、面白い顔をしてます。腰のパーツがなくてお腹からいきなり脚が生えているみたいな体形も変わっていて面白いですね。
アメリカ西部の街並みやインドのジャングル、氷に覆われたヒマラヤの山、そんな風景もミニチュア模型とCGで見事に作りました。英国紳士をつけ狙う殺し屋がリーバン・クリーフそっくりなのがおかしかったねぇ。
この映画、とっても評判が良かったんです。ゴールデングローブ賞も取りました。でもお客さんはあんまり入らなくて大赤字になっちゃったんですね。キャラクターの造形が良くないとかシナリオが単純すぎるとかいう話しもありましたが、これを作ったライカスタジオはひょっとしたら売れることよりも自分の好きなものを作ることを優先してるんじゃないか、そんな気がしましたね。
もちろん、売り上げを全く気にしないってことはありえないと思うんですが、キャラクターの顔なんて流行り廃りを気にしていたらみんなおんなじになっちゃいますから自分がいいと思うものにしよう、と考えたんじゃないでしょうかねぇ? なぜそう思ったのかと言うと、大変な大赤字を出しておきながら、今年には新作Wildwoodが公開されるそうですし、その次はよりによってイギリスのファンタジー小説「ピラネージ」を映像化するっていうんですよ!
この小説は巨大で複雑な建造物を舞台にしたお話しです。ピラネージで複雑な巨大建造物と言えばそりゃ「空想の牢獄」ですよね?
ジョヴァンニ・バッティスタ・ピラネージは18世紀のペーパーアーキテクト。実際の建造物も作りましたが、幻想的な古代神殿やこの空想の牢獄の絵の方がずっと有名ですよね。それがこれですよ。
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ああ、こんなもんを見てこんな小説読んじゃったらそれを作って動かしてみたくなっちゃたんじゃないかなぁ?って思いましたね。大赤字を出してもなにも気にしないみたいにもっとお金がかかりそうな新作に手を出してしまうスタジオライカのキラキラした顔が目に浮かびますね。たいしたもんです。
「ミッシング・リンク」、これはそんなスタジオライカがたくさんたくさんつまった映画ですよ。よかったら観てみてくださいね。
それではみなさんまたお会いしましょう。 さよなら。さよなら。