リバーブックス日記 2024.10.25(金)
2024.10.25(金)曇り 17/23℃
今日は深夜営業。
月に1,2回、18時に開店して深夜0時まで営業する“夜の本屋”をやっている。
“MIDNIGHT RIVERBOOKS”という専用の黒い看板まで作って、深夜営業の時だけ店に出す。地方の小さな本屋が真夜中まで開いてて、地元のクラフトビールが飲めたら楽しいだろうし、何より店の特色になるだろうと思って始めた。漫画「深夜食堂」が好きで、あんな感じで本屋やってみたかったというのもある。
読みは当たって、最初はものすごく話題になって大盛況だった。毎月友人知人のご飯屋さんに来てもらって、フードを出してもらったり、とても楽しかったのだけど、回を重ねるごとに落ち着いてきてしまった。人はすぐに慣れてしまうので、あまり高頻度でやるのも良くないのかもしれない。僕が展覧会の準備や他のイベントなどでいっぱいいっぱいなのもあって、今月はただ夜開いてるだけの本屋にしてみた。夜中までやってる静かな本屋、すごくいいじゃないか。(ちなみに当初は深夜2時までやってたけれど、体力的にダメージがでかすぎて0時までにしました)
とはいえ、今週はどういうわけかご来店が少なく、18時に開店してから、2時間以上誰も来ない。静かな本屋はいいけれど、静かすぎるのはいやだ。
本屋を始めてから、僕は一喜一憂が激しくて、店を開けてから売上ゼロの時間が長いと、どんどん自信を失っていくのだけど、最初の一冊が売れてお客様が続くと、俺最高!という無敵状態がやってくる。感情がジェットコースター。躁鬱ってこんな感じなのだろうか。
20時過ぎに今日初めてのお客様がいらして、本を2冊お買上げいただく。開店時からよく来てくださるご近所の方で、なぜか瓶のクラフトビールを3本と、奈良のお土産という布巾を差し入れてくださった。多分本代より高いんじゃなかろうか。以前僕がぎっくり腰になって臨時休業した時にも差し入れをくださった。いつもありがとうございます。
その後も少しずつご来店いただき、夜が更けていく。
たまにドアが開いてお客様が入ってきて、静かに本を選び、お会計の時に少し話して、じゃあまたと帰っていく。自分がイメージしていた“深夜の本屋”に近づいていて嬉しい。この静かな夜の感じを積み重ねていこう。
お客様がいない間、横道誠・松本俊彦『酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医が本気で語り明かした依存症の話』を読み終えた。 依存症、依存について、誰にでも萌芽があること、依存は快楽ではなく、苦痛の緩和であること、などが往復書簡形式で軽快、明快に綴られる。なんだけど、一番鮮やかなのはマコト(横道)さんが最初からいきなり“パンツを脱ぐ”ように自身の依存性、生い立ち含めてさらけ出すことで、トシ(松本さん)さんの応答にもドライブがかかり、お2人の語り合いがどんどん深くなっていくこと。この本気のさらけ出し合いが生む言葉の熱に読んでいてどんどん引き込まれる。
おそらく、自分含めて、物や行為、何かに依存してない人って少ないんじゃないだろうか。今まで気にしていなかったけれど、本書に出てくる横道さんのような「こだわり」「過集中」に近い状態が、とても身に覚えがある。僕はこれだ!と決めた物事に異常に執着して突っ走る癖が今までも多々あって、今やっている本屋もその延長にあると思う。この特質が自分にとっていいのかどうかわからないけれど、今まで気づかなかった自分に気づけた一冊だった。
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