ソロマーズ攻略指南書
この記事は、ボードゲーム"Terraforming Mars"の一人プレイ用ルール、通称ソロマーズの初心者向け攻略記事です。ここでは拡張入りマーズに触れず、基本のボードとカードだけを用いた火星開拓について言及します。ソロマーズをクリアしたことがない人や、100点以上のスコアを出したことがない人を想定とした記事ですので、既に安定して120点前後を出せる人にとっては少々退屈な内容かもしれませんがご容赦ください。
堅苦しい挨拶はこのあたりにしておいて、ここからはソロマーズで安定して100点以上を出すために心がけるべきことを解説していきます。
1."拡大再生産"について
Terraforming Marsは拡大再生産の要素を含むゲームです。持っている資本の一部を生産力の向上に費やすことで、将来的により多くの資源を確保し、有利に活用することを目指します。
例えば《スポンサー/sponsors》がゲームの開始時に提示されているとしましょう。カードの購入(3MC)と使用(6MC)に合計9MCかかりますが、1~13ラウンド目の産出フェイズで2MCを産出するようになり、合計26MC分の資源を産み出します。これが拡大再生産です。
拡大再生産は本来経済学用語らしいですが、こんな場所でメガネをクイクイさせながら早口で小難しい話をしてしまっては読む気を削いでしまいそうなので、詳しい定義を知りたい人は偉大なるGoogle先生に聞いてみてください。
さて、このゲームでは様々なプロジェクトカードを使うことによって各資源の産出力を上げることができます。ゲームの序盤に産出力を上げるカードが提示されたら極力購入し、プレイするようにしましょう。購入コスト(3MC)にカードの使用コストを加えた値が、そのカードによって上がる算出に残りラウンド数を乗じた値よりも小さいなら、それはプレイする価値があるカードです。とは言っても、ゲームに慣れていない内は熱資源や草資源の価値を判断するのは難しいことでしょう。次の章では、各種資源について詳しく解説します。
2.各種資源の役割
Terraforming Marsに出てくる資源は全部で6種類。それぞれのざっくりとした役割と価値を説明するので、頭に入れておいてください。
・MC
お金です。このゲームにおいて最も重要な資源と言っても過言ではありません。極論、お金の算出さえ十分にあれば標準プロジェクトを駆使して火星を開拓することすら可能ですが、基本的にはカードを購入し、プレイするためのものだと考えてください。また、産出フェイズで手に入るMCの量はTR+MC産出ですので、TRを上げることがお金の算出に繋がることも意識しましょう。
・建材/steel
建物タグがついているカードにだけ使えるお金です。電気算出や熱算出を生み出すカードや、都市タイルや特殊タイルを置くことによる盤面ボーナスと拡大再生産を狙うためのカードが多く用意されています。都市による盤面点は高スコアを目指す上で必要不可欠です。序盤に建材産出を2~3ほど確保できると盤面点の安定に繋がります。建物タグがついているカードには2MC分の働きをしますが、それ以外の用途はほとんどありません。建材産出ばかりにこだわってしまうと、ゲーム終盤で湯水のように溢れた建材資源を眺めて悲しい思いをする羽目になります。建材資源の産出を上げる際は、1建材=1.5MCと換算して考えることを推奨します。ただし、手札にたくさん建物タグのカードを持っていたり、アクションによるドローソースが確保されており、将来的に建物タグがついているカードを十分にプレイする見込みがある際は1建材≒2MCと換算しても構いません。
・チタン/titamium
宇宙タグがついているカードにだけ使えるお金です。ソロマーズにおいては基本的に《ダイモス落とし/Deimos Down》や《巨大氷小惑星/Giant Ice Asteroid》といった大型の宇宙イベントカードを使い、海洋タイルを配置したり温度を上げるために用います。安定して高スコアが出せるようになるまでは決して木星のカードを使うためにチタンを使わないように気をつけてください。ソロマーズにおける木星プレイはよっぽどのことがない限り成立しません。チタンがよほど余っているわけではない限り、木星タグのカードは購入してはいけません、ここテストに出ます。チタン算出を上げるカードを使う際は、1チタン=2.0MC~2.5MCと換算して考えると良いでしょう。ただし、手札にたくさん宇宙タグのカードを持っていたり、アクションによるドローソースが確保されており、将来的に宇宙タグがついているカードを十分にプレイする見込みがある際は1チタン≒3MCと換算しても構いません。
・植物/plant
8植物集めると緑地化が一回できます。基本プロジェクトで緑地化をしようとすると23MCが必要になるので、1植物≒3MC換算としたいところですが、8植物ないと何の仕事もしないことで有名なので序盤の植物産出に関しては1植物≒2MCくらいの価値だと考えてください。植物産出を語る上にはゲームの流れやグローバルパラメータへの理解が必要なので、詳しくは次章で解説します。
・電気/energy
電気の役割は多岐に渡り、産出を上げる際も定量的にMC換算することで評価することは困難です。それでも敢えてMC換算するなれば、1電気≒1.5MCくらいに考えておいて下さい。電気は疑似的な温熱産出であり、電気を要求するアクションの行使権であり、産出そのものが消費型の資源でもあります。《深井戸暖房/Deep Well Heating》《月光収束システム/Lunar Beam》《過酸化物発電/Peroxide Power》《地熱発電/Geothermal Power》《火力発電/PowerPlant》あたりは見かけたら購入しておくと、都市系のカードや電気算出を必要とするカードを使うときスムーズに使用できるはずです。150点を超える高スコアを目指す際はよりシビアな電気産出のマネジメントが要求されますが、今回の趣旨に沿わないので割愛します。100~120点を目指すだけならあまり深く意識しなくても問題ありません。あったら良いなぁくらいの感覚で1~2電気産出は維持しておくと安心です。
・熱/heat
8熱集めたら温度のパラメータを1段階上昇させることができます。この上なくシンプルです。熱の算出を上げる際は、1熱=1.8MCくらいの認識で問題ありません。ただし、温度が8℃を超えた後は無用の長物ですので、ゲーム終了までに必要な熱を計算し、過不足なく熱産出を上げるのが理想です。熱産出カードが引けなかったときでも、グローバルパラメータのボーナスで2熱産出までは保証されているので、なるべく早く-24℃と-20℃の温熱産出を確保するようにしましょう。
3.ゲームの流れとカード購入の基準
使うカードによって多少変わりはするものの、このゲームの大まかな流れは、温度を上げる→海洋タイルを置く→酸素を上げる、といった形に落ち着きます。これは、一部の例外を除いて、酸素濃度を上げるためには植物資源が必要であり、植物産出を上げるカードのほとんどは一定以上温度を上げている、あるいは海洋タイルを配置していることが使用条件として設定されているからです。この章では序盤・中盤・終盤に意識すべきポイントとカードを購入する基準について解説します。一定のスコアを安定して出せるようになるまでは、ここで解説する流れから大きく外れすぎないよう意識してください。
・序盤 ~資金と熱産出の拡大再生産~
序盤とは、植物以外の拡大再生産に重きを置く1~6ラウンド目のことを指します。慣れない内は標準プロジェクトや宇宙系イベントカードを駆使して5ラウンド目までに火星の温度を-20℃まで上げて、熱産出のボーナスを2つとも回収するように心掛けてください。これが守れるようになると、ゲームのクリア率が大幅に高くなり、点数も安定するようになります。
序盤はTRがまだ伸びていないため、1ラウンド目を除き、基本的にMCが不足します。基本的に、購入したラウンド中に使えないものは買わないようにしましょう。すぐに使えないカードに3MC払う余裕はありません。ある程度ゲームに慣れるまではどんなに強いカードを引いたとしても、そのラウンドに使える見込みがなく、拡大再生産に関与しないものはキープせずに、お金が余っていれば標準プロジェクトで温度を上げましょう。ただし、《ソレッタ/Solleta》や《モホール掘削エリア/Mohole Area》などで十分温熱産出を確保できている場合は、ある程度ゆっくり温度を上げていても問題ありません(それでも-20℃はなるべく早く達成するように心掛けてください)
・中盤 ~植物産出の拡大再生産~
中盤とは、序盤で確保した資源の算出を使って温度や海洋のグローバルパラメータを上げつつ、植物産出の拡大再生産を目指す7~11ラウンド目を指します。このあたりから、MCに余裕が出始めているはずなので、植物産出を上げるカードや海洋タイルを配置するカードを意識して購入するようにしましょう。また、より高得点を目指すためにはある程度カードに書かれているVPを集める必要があるので、余裕があれば購入するように心掛けてください。8MCあたり1VPがついていて、更にメリット効果として産出があるカードを中心に探して、無理のない範囲でプレイできるようになれば100点以上のスコアを出すことができるはずです。
中盤で植物産出が確保できない場合は電気産出を確保し、《水分解プラント/Water Splitting Plant》などを使用する、あるいは《藍色細菌/Regolith Eater》によって酸素濃度を上げるなどで誤魔化してください、それらのうち、いずれのカードも引けなかった場合は気合いを入れて標準プロジェクトによる緑地化を繰り返すしかありませんが、多くの場合不毛な時間を過ごすことになってしまうので大人しく諦めて次のゲームに挑みましょう。カードを用いるゲームに運は付き物。運が悪いときには諦めも肝心です。無事に植物産出、あるいは酸素濃度を上げる手段を確保できたなら、いよいよ終盤戦に挑みましょう。
・終盤 ~資源の得点化と盤面点の確保~
終盤とは、十分に各種資源の算出基盤が整い、いよいよ火星開拓も大詰めとなった12~14ラウンド目を指します。手札にあるVP付きのカードは極力プレイしつつ、効率よく都市と森を配置して盤面点の確保を狙います。12ラウンド目の時点で温度、酸素、海洋タイルのいずれかが明確に足りていない場合は標準プロジェクトを駆使してクリアを目指していきます。また、手札に残っている必要ないカードは早めに売却し、さっさと火星開拓の資金に変えてしまいましょう。
さて、終盤を語る上で重要となってくるのが都市タイルと森林タイルの配置による盤面点です。安定した火星開拓を目指す上で、最初に都市を置く場所の候補は大まかに分けて2ケ所あります。
1ケ所目は、中央列より一段上の海洋予定地左側です。周辺に海洋タイルを置いてから森林タイルを配置していくことで、海の隣接による2MCのボーナスと、盤面にある植物のボーナスを拾っていきます。特に、基本ボードの中央列右から2番目、3番目のマスは3つの海洋予定地と隣接しているため、海洋タイルが全て置かれている状態だと6MCと2植物のボーナスを獲得でき、大変効率的です。5つ森を置いた後は中央の海に沿ってボーナスのMCと植物を稼ぎつつ、もし余力があれば複数の都市を立てて盤面点を効率化させます。一つ目に置いた都市と2つの森林タイルを共有するように都市を配置すると、効率的に盤面点を確保できることを忘れないようにしましょう。
2ケ所目は中央列左端、《ノクティス市/Noctis City》の周辺です。海洋タイルの隣接によるMCのボーナスは期待できませんが、植物資源が密集している上、狭い範囲に多くの都市を配置することができるため、盤面点を伸ばしやすいようになっています。《ノクティス市/Noctis City》をプレイできるなら、こちらを優先して盤面点メインの火星開拓を目指すのも良いでしょう。
4.あとがき
今回の記事は初心者が安定して火星を開拓できるようになるための指針となるように執筆しました。本当は企業の解説や全カード解説もやろうと考えていたのですが、文量がすごいことになりそうだったのでまたの機会にします。この記事に書かれている基本事項に加えて、科学タグを集める、動物や細菌を駆使するなどの技術を習得することによって120点~130点のスコアを狙うことは十分可能ですので、まずはたくさんゲームをプレイしてカードの使用条件や有効的に使う方法を頭に入れて少しずつスコアは伸ばしましょう。
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。この記事がみなさんの火星開拓の助けになることを祈りつつ、ここで筆を置かせていただきます。
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