ロックダウン中のマンションで起きたチームビルディング(前編)
既にご存知のように上海では2022年4月1日から新型コロナウィルス感染拡大によりロックダウンを行っています。僕が住むマンションも例外なく4月1日よりロックダウンされていますが、マンションに関わる人達の関係性が大きく変わり、その経緯をチームビルディングの観点で考察してみます。主な関係者は「マンション管理会社のスタッフ」と「マンション住人」で、合わせて300名程度です。
(少し長くなるので前編・後編に分けて書くことをご容赦ください)
ロックダウン前の状態
2021年5月に今のマンションに引っ越してきたのですが、住人同士はもちろん、住人と管理会社のコミュニケーションも必要最低限のみ。マンション内のグループチャットはなく、日本人が比較的多く住むマンションですが、どんな人が住んでいるのか、全く分からない状況でした。管理会社から住人へ何か用事があるときは、ポストに手紙が入っていて、必要があればマンション内にある管理会社オフィスに立ち寄っていました。上海の多くのマンションが同じかと思いますが、管理会社には日本語・英語が話せるスタッフはいないため、中国語が苦手な方はコミュニケーションを取ることが難しかったと思います。
要するに、たまたま同じマンションに住んでいる人同士の「集団」であり、共通の目標も何もなく「チーム」にはなっていない状況でした。
ロックダウン準備期間(3月28日~31日)
私が住む浦西エリアでは3月28日にはロックダウンが告知されており、開始まで4日程度、食料を買い込むなど準備する時間がありました。この準備期間中にマンション内で初のグループチャットが出来ました。作ったのは管理会社のスタッフで、エレベーターホールに張り紙でQRコードが貼られていて、全員入るようにと一言が添えられていました。ところが、この段階でグループチャットに入ったのは多く見積もっても7割程度だったと思います。
理由は推測ですが
・知らない管理会社への警戒心
・知らない住人に部屋番号と個人が紐づけられることへの警戒心
・中国語の貼り紙だったので読んでない
・当初4月5日にには終了予定だったので無視した
の4つ程度だと思います。
実は、私の住むマンションは以前にも48時間の封鎖があり、その際に感じた手際の悪さや、突然の封鎖に関わる不満がマンション管理会社へ募っていたことも原因になっていたかと思います。
この時期のマンション住人・管理会社の関係性は、チームの成長を段階的に示す「タックマンモデル」で言う「形成期」でした。住人同士で食料のことなどを少し話したりするものの、遠慮がちで十分なコミュニケーションは取らなかった状態です。
さて、ここからはチームの成長を段階的に示す「タックマンモデル」に沿って、マンション住人と管理会社の行方を話していきますが、簡単にタックマンモデルを説明を貼り付けておきます。
ロックダウン開始(4月1週目)
いよいよ4月1日ロックダウンが開始されました。既に浦東エリアが3月28日から開始されていた為、多少の事前情報はありましたが、本当に不便です。
ロックダウン開始直後、グループチャットは管理会社への不満が数多く投稿されました。
「ゴミはいつ取りに来るんだ」
「外卖は何で使えないんだ」
「前からお願いしていた、電気の修理はいつ来るんだ」
などなど、以前から溜まっていた不満が一気に噴出したように、グループチャットは文句で埋め尽くされました。
まさに、タックマンモデルで言う「混乱期」の到来です。
この「混乱期」に拍車をかけたのが、4月2日か3日に行われた1回目の食糧配給でした。マンション管理会社のスタッフが各部屋まで運んでくれたのですが、冷凍された魚・肉が既に解凍されてしまって、凄い異臭を発していました。グループチャットには
「到着してから、すぐに持ってきたのか?」
「こんなの食べられない、すぐに引き取れ」
「家族が多いのに、単身者と内容が同じでは不公平だ」
など、新たな不満が一気に投稿されました。
管理会社も少ない人数で対応しているため、配給物資を配るだけで手一杯、グループチャットへの返信もかなり時間が経過してからでした。
この「混乱期」はこの後、数日間続くのですが
「水は手に入らないのか?」
「トイレットペーパーがない」
など、事前準備が出来なかった人たちを中心に、生活に必要な物資に関する不満が、ずっと発信されている状態でした。
長くなってしまったので、続きは後編に書きます。まずは、「形成期」「混乱期」と2つの段階を見て頂きました。この段階では、これがずっと続くのかと思い、グループチャットを見ることに、うんざりしていたのですが、しっかり「統一期」「機能期」を経て、チームとして機能していくようになります。