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ロックダウン中のマンションで起きたチームビルディング(後編)

前編に続き、僕が住むマンションに関わる人達の関係性が大きく変わり、その経緯をチームビルディングの観点で考察してみます。主な関係者は「マンション管理会社のスタッフ」と「マンション住人」で、合わせて300名程度です。

ロックダウンが終わらない(4月2週目)

前編の最後は「混乱期」で、マンションのグループチャットが管理会社への不満でいっぱいになっている状態でした。最も不満が爆発したのが、当初隔離解除予定だった5日を過ぎたあたりです。

この5日を過ぎたあたりから、これまで不満への対応しかしてこなかった管理会社が大きく変わっていきました。
・ごみ捨てなどのオペレーション(時間・場所・頻度)が明確になった
・マンション内で水を始めとした物資の販売を開始した
・共同購買を提案してきた

このマンション管理会社の動きに合わせて、住人の一人がグループチャット内で「不満ばかりでなく、一緒に協力していこう」と声をあげました。
すると、これに賛同するように今まで全く発信してこなかった住人もグループチャット内で様々な提案を行うようになりました。
・自分で食べたい共同購買を探してきて応募者を募る
・PCR検査時に混みあわないようフロア毎に時間を分ける
・エレベーターが密にならないよう、降りる際は階段を使用する
などなど、様々なルールが住民発信で決まって行きました。

まさに、タックマンモデルの「統一期」が到来したようでした。

タックマンモデルにおける「統一期」の特徴
混乱期を乗り越え、メンバーそれぞれが共通の目標や役割を持つようになった段階。活発な意見が増え、意見が食い違っても大きなコンフリクトには繋がらない状態

前編に掲載しましたが、もう一度タックマンモデルを掲載しておきますね。


チームとしてより機能的に(4月3週目以降)

ロックダウン3週目以降になると、よりチームが機能的に動くようになりました。上海で物資の入手に苦労されている方がいるため、SNSでは発信しなかったのですが、小区の外に出れない以外は、何一つ不便なことはなくなりました。
タックマンモデルが示す「機能期」に到達したと感じています。

タックマンモデルにおける「機能期」の特徴
チームとして成功体験を積み、主導者不在でもメンバーそれぞれが役割を正しく認識し、互いの協力しながら活動する。次々とチームとして成果を創出する状態。

この時期に追加されていった機能をご紹介します
マンション管理会社のオフィスがコンビニ化
飲料水・米・卵・牛乳ジュース類・ビール・中国酒・調味料・油などは、いつでも購入できるようになりました。
・団体購入の多様化
これはどこのマンションも同じだと思いますが、野菜や肉、パンなどの基本的な食材の共同購買はマンション管理会社が2-3日一度実施。その他のデザートや欧米・日本食材などは住人起点で実施。これも数名の方が、リーダーのようになり、検索から取り纏め、店との交渉まで全て行ってくれます。
・日本語通訳
マンション管理会社には日本語を話せるスタッフがいなかったので、全く中国語が話せない方は苦労してきました。しかし、住人の数名が交代でマンション管理会社をサポートし、多くの時間は日本語で買い物が出来るようになりました。

住人間の関係性にも変化がありました。政府からの配給物が届いた際、また、会社から生活物資が届いた際など、多くて使いきれない物資については、グループチャット内で発信し、各フロアのエレベーターホールで対面を避けて受け渡しを行うようになりました。

また、全体へは発信されていないですが、タバコや日本のお酒の販売もマンション内で行っており、いつもより少し高い程度の金額で手に入れることができます。

最後に

この記事を書いている5月5日段階で、ロックダウンは解除されていませんが、近いうちに解除され、このマンションも以前の生活に戻ります。
タックマンモデルの最後の段階「散会期」が訪れます

タックマンモデルにおける「散会期」の特徴
チームとして目的を達成し、散会する段階。

当然、ロックダウンが解除されてしまえば、住人それぞれがマンションで過ごす時間も短くなり、買い物も自分の好きなところで、好きなモノを変える生活に戻ります。現在、マンションが有している昨日の大部分は不要となり、チームも散会します。

これまで挨拶もしなかったようなマンションが、今ではコミュニケーションが活発になり、管理会社とも良い関係性になっています。散会期を迎えても、一度「集団」から「チーム」に成長した関係性は、きっと残ってくれるものと期待しています。今後、注意深く「散会期」以降の関係性についても観察していきたいと思います。

前編・後編と併せて、大分長い記事になってしまいましが、お読みいただいた皆様に感謝いたします。

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