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正義の押し売りさんに「認識論的質問」を実践してみた

前々回前回に引き続き、頑固な人の考え方を変えるのに有効だとされる「認識論的質問」を、色々な場面で実践しています。
前々回は、言葉がきつすぎるパワハラ上司。前回は、飲み会こそが部下との信頼関係を作る最良の方法と信じ切っている上司と試してきましたが、今回は「正義を押し売りする人」です。普段であれば、出来るだけ避けたいタイプですが、あえて対話をしてみました。
(予想通り、最も効果が低かったです・・・)

中国は悪、すぐに撤退すべきと主張する役員

実は、今回「認識論的質問」を色々試していたのは、今回の対象者に関するご相談を受けていたからです。ご相談を受けた私のクライアント企業には、中国で新しい取り組みを始めようとすると、毎回必ず反対する役員がおり、事前の根回しに大変時間を割き、とても苦労をしていました。
私も何度か面識があり、論理や根拠で説明しても、全く話しが噛み合わなかったので、お手上げ状態でした。

ロックダウンを機に撤退を強く主張する役員

4月初めの役員会で、予想通りでしたが、この役員が「ロックダウンをするような人権を無視する国は、すぐに撤退すべき」と主張し始め、今後も事業運営していくのであれば、リスクを回避する明確な手法と、今後も成長する根拠と戦略を示せと宿題を頂きました。
確かに、ロックダウンは今回だけではなく、また行われる可能性のある、重大なカントリーリスクとして対処する必要があります。これについては、クライアントでもある友人が、必死に説明し何とか納得頂いたのですが、内容については今回の話と異なるため省略しますね。

今回は4月中旬に、この役員とお話をする機会があったので、その対話の中で「認識論的質問」を使い、中国事業に対して少しでも協力的になってもらうことを目標にしました。

いよいよ面談、想像以上に噛み合わない

面談が始まってしばらくした後に、「中国に対して、何故それほどまでに悪い印象を持っているのか?」を伺ったところ。
「日本での報道を見て、よい国なわけがない」
「以前に中国出張した際に、工場の社員がサボってばかりだった」
「今回のロックダウンで自社のSCMに大きな損失が出た」
の3点を踏まえて、中国は事業を行うべき国ではない、と強い語気でお話しされました。「真実」を創り上げているプロセスは3つ。

「認識論的質問」をぶつけてみる

まずは、過去の事実に対する質問をぶつけてみました
「サボっている社員が多い中で、頑張っている人は?」
「他企業の中国工場でも、同じ?」
「自社の他の国にある工場でも、同じ?」
など複数ぶつけてみましたが、
「中国人は全員サボっていた」
「友人に聞いても、他の会社でも一緒」
「他の国では一生懸命働いている」
と、ばっさり切り捨てられてしまいました。。。
この続きで、「一般常識」「今の事実」に対する質問を複数ぶつけてみましたが、全て同じように一刀両断でした。

Twitterを見てみると、凄い中国バッシング

後で発見したのですが、この役員の方のTwiiterを見てみると、中国に関するバッシングが数多く発信されていました。(しっかり本名で)
さらに、中国に対してポジティブな発信をされている投稿に対して、必死に叩いて、自分こそが「正義」だと言わんばかりでした。

以前にどこかの記事で「社会的正義を執行する欲求はとても強力で、自分が正しい側にいて、逸脱した人を攻撃することで『自分は良いことをした』と報酬が脳内で発生する、そうです。そして、攻撃する相手がいなくなると、自分から攻撃相手を探しに行く」と解説されていました。

今回の場合、まさにこれかと思っています。社内だけでは飽き足らず、SNSでも攻撃対象を探しているような正義の押し売りさん。

この役員の主張が正しい・正しくないは、今回の内容とは関係ないので触れませんが、今回のように異なるインセンティブが発生してしまっている「真実」については、「認識論的質問」でアプローチしても、なかなか懐柔していくことは難しいようです。
※僕の実力不足も当然影響しています。
引き続き、色々なところで実践しながら腕を磨いていきます。

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