小さな現地法人だからこそ取り組みたい「最高の社風のつくり方」
優れた社風がある会社は、業績も高く、社員満足度も高い。
理解はしているけど、日本にいたときは大きななテーマ過ぎて、
担当部署(人事や経営)の仕事でしたよね。
海外現地法人はとても小さい組織ではありますが「会社」です。
折角の現法だからこそ、チャレンジしていただきたいテーマであり
その一助になる一冊をご紹介します。
書籍紹介「マッキンゼー流 最高の社風のつくり方」(2016年)
著者はニール・ドシとリンゼイ・マクレガーの共著です。
ニール・ドシはマッキンゼーの元パートナーで、テック・スタート・アップの創設メンバーで、リンゼイ・マクレガーもマッキンゼーでフォーチュン500のプロジェクトを牽引した実績を有しています。
「企業の成功には優れた組織文化=社風が欠かせない」
誰もがその必要性は分かっているが、どうすれば良い社風を築けるのかは
分からない。サウスウエスト航空やスターバックスとという世界的にも優れた社風をもつことで有名な企業の事例を交え、優れた社風を作る方法を20年にわたり研究してきた成果を綴った本です。
この本は大きく4つの章で構成されています。
・優れた社風を作るのは「社員の働く動機」
・「働く動機」を可視化するTomo
・なぜ、優れた社風は少ないのか?
・ToMoの高い優れた社風を作る方法を構築できるのか
今回は2つ目までの内容をざっくりご紹介します、
より詳しく・具体的な方法は、実際に本を手に取ってみてください。
優れた社風を作るのは「社員の働く動機」
人が何かの活動に参加するとき、「なぜ参加するか(=動機)」が成績に影響しています。多くの経営者が「給与=報酬」を高くすることで、社員のモチベーションを高め、業績を高めようとしますが、人間はそんなに単純ではなく、働く動機も幅広いです。著者は人の働く動機を6つに分け、それぞれの動機が社員のモチベーションにどのように影響するかを解明しています。
まず、6つに分けた動機を、大きく2つのグループに分けます。
業績を高める動機=直接的動機(楽しさ・目的・可能性)
業績を下げる動機=間接的動機(感情的圧力・経済的圧力・惰性)
それでは1つずつ簡単にみていきましょう。
①楽しさ
これは好きなサッカーをしたり、好きなパズルをしたり、その行為自体が好きで楽しいという動機。仕事に当てはめると、仕事そのものが好きで、仕事そのものが報酬になっています。
人がやる気になるには、最も直接的で強い動機です。
②目的
仕事の「結果」に価値を感じられる動機。つまり自分の仕事が社会に及ぼす影響が、自分の価値観や信念と一致する場合です。
分かり易い例だと、医療従事者が人命を救うという結果に対し、人々の役に立っている素晴らしい仕事だと感じ、それが働く動機となっている場合が象徴的です。
③可能性
仕事の直接的な結果ではなくとも、二次・三次的な結果が自分の価値観や信念と一致する動機。今行っている仕事が楽しくなくても、将来の自分にとって役に立つと感じている場合です。
④感情的圧力
失望や罪悪感、羞恥心などの動機。小さな子供だと、母親の期待に応えるために行っている勉強。若手の営業などは日々の営業活動が、上司を失望させないためなどです。多くの職場で見かける光景だと思います。
⑤経済的圧力
これはシンプルで、報酬を得るため、または解雇などの罰を逃れることが働く動機になっているものをさします。これは労働だけに限らず、一般的に何かの活動に参加するとき、目的が金銭だけだと、パフォーマンスは低くなります。
⑥惰性
これは働いている本人でさえ認識していない動機要因です。ただ昨日やっていたことを今日もやるだけ、辞める理由もないのでただやり続けている。
高い業績を生み出す社風を作るためには、社員それぞれの働く動機を知り、
直接的動機を高め、間接的動機を弱めることです。
実際にこの理論を実証した、ある会社の販売力調査結果です。
(「マッキンゼー流最高の社風のつくり方」より)
「働く動機」を可視化するToMo
優れた社風をつくるには直接的動機を高め、間接的動機を弱めるという
理屈は分かり易いですよね。
では、それをどのように可視化(=数値化)するか
その技法が著者が開発した「ToMo」です。
以下のアンケートに答えてもらい、集計したものが
貴方の会社・組織のTomoの現状です。
優れた社風を持つといわれる、スターバックス、アップルストアともに
競合他社と比較すると、圧倒的に高いToMoとなっています。
このほかにも差別化が難しい航空業界において、サウスウエスト航空は
圧倒的にToMoが高く、顧客満足度も極めて高いと紹介されています。
この本の中では、より細かくToMoを測る手法について注意事項と併せて
書かれているため、是非本を参考に試してみてください。
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