土を慣らす
「違いを力に」
ふと目にしたフレーズ。 少し前の私なら、「私が持つ、違い、を力にしていけることはあるかな?」と思っていただろう。
けれど、私は変わったのかもしれない。違いを力に変える。前向きだし、それぞれの違いを力にしていくことで変革が起きたり、生きやすくなる人がいるのかもしれない。 ただ、私にとっては、違いは違い、それ以上でもそれ以下でもないのだ。それを、力に、と言われてしまうと、一気に息苦しさ満載に感じてしまう。
一方、先日、私が好きなミュージシャンが、「しょっぱいポジティブは好きじゃない」と呟いていた。 いい表現だなー、と思っていた。
しょっぱいポジティブ。
まさに、「違いを力に」、には、しょっぱいポジティブな印象を受ける。
なにがしかの見解や属性を表明したり、多様性、ダイバーシティなる言葉が飛び交う昨今。まるで間違い探しクイズさながらに、自分の中の「違い」を見つけることを強制されているかの様に私には見える。それが、よくない、とは言いたくないし、思わない。(ただ、ビジネス利用はあまり賛同できない。)
ただ、違いから生まれた力、を内包した時、共有並びに、共感した時に自信に繋がれば、それは素敵なことだが、一方で危機感も私には感じられるのだ。
共有や共感がもたらす排他。許されぬ沈黙。しょっぱいポジティブが生み出しやすいのが、まさに上記の排他や沈黙な様に感じる。
私は、自覚している各々の違いを力に、というよりは、互いに盛り上がった土をゆっくりと慣らす様な形で、違ったままで混ざり行く感じの方が生きやすく思う。違う土同士がならされていくことで、頃合いのよい堆肥になるかもしれない。
そんなことを感じる夜。何事もほどほどに、を大切にしていきたい。
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