人って思っている以上につながっている
アスリート学生の相談を始めた当初は
『だらだらした人がチームにいると
こっちのモチベーションが上がらず困る』
という訴えを聞くと(白状しますが)
〈意外に主体性がないなあ〉と不思議に思ってました。
私は語学系の出身者なので、
勉強って基本一人でするものですから
騒がし過ぎるのは困りますが、
同じ部屋でテレビを見ている人がいても
気にせず勉強をします。
あまり周りがやる気が無いから
自分のやる気も上がらないという体験をしたことがありませんでした。
相談を続ける内に、
からだを使うアスリートとスポーツの場は
語学学習とは事情が違うことに気づきました。
ある学生さんは動作法を1年ほど続けて
筋緊張のコントロールがとても良くなって記録も更新していたのに、
今週はなぜか練習中に変な筋緊張が入ってしまい、
気持ちが悪いということがありました。
話しを聞いていくうちに、どうやら大会前で
周りの選手がものすごく緊張しているいうことがわかりました。
周りの人の交感神経が活発になり、
闘いモードになっている影響を受けて、
自分も無意識に緊張していたことに気づきました。
自分の変な緊張の理由が分かると、
いつも通り落ち着いて,入り過ぎた筋緊張を弛めることができ、
気持ちの悪さは無くなったようでした。
よくチームの一体感と言いますが、
単なる比喩的な表現でなく、
一緒にいると本当に心身の状態が同調してくるようです。
だから、ダラダラした人が近くにいたら、気分も乗ってこないし、
逆に活力がある人が近くにいると自然と元気が出てくるのです。
大谷翔平選手が笑顔で近づいて行くと
相手の人も笑顔になるのと一緒ですね。
スポーツは選手としてプレイしなくても、
観戦しているだけの人も選手と同じように興奮したり、喜んだり、
悔しがったりという体験ができます。
だから、スポーツ観戦が成り立つのです。
このつながりが無ければ、
きっとどんなスポーツも観戦するだけでは
つまらない体験なんだろうと思います。