見出し画像

子どものスポーツ指導:「心」と「体」どちらも傷つけないで!(前編)

スポーツの指導で何が一番重要かは
いろいろな意見があると思います。
これはあくまでも学生相談室の
一(いち)カウンセラーとしての経験に基づく
考えであることをご理解ください。

競技スポーツの経験が全くない私は
アスリート学生さんとお会いするようになって
驚いたことはいろいろあるのですが,
その一つは怪我人が多いということです。
『アスリートに怪我は付き物』と
前から聞いていましたが,それでも
大学に入る前からの古傷を抱えた人が多いのには
驚きました。

しかも,手術をするような大きなケガなどは
なかなかケガする前の状態には戻らないようなのです。
痛みや思うように動かせない身体で,
それでも,競技を続けないといけないのは
日々本当につらいだろうと思います。
それで,先日はケガをしたアスリート学生さんに
学生相談室を利用してほしいという内容の記事を書きました。

大学で競技パフォーマンスを上げるには
日々の練習を良い状態で継続する必要があります。
当然ながら古傷があるとそれが困難になります。
以前,小学生の野球肘について新聞記事で読んだのですが,(今回ネット検索したらすごい量の検索結果が出てきてまた大びっくりでした。)
ある県では小学生がトミー・ジョン手術という
大谷選手が受けた手術を何人も受けたなんて!
そんな身体を酷使した練習を本人は楽しんで
本心から望んでやっていたのかはわかりません。
けれども,小学生でその状態では
おそらく高校や大学で結果を出すのは
難しくなるでしょう。

競技スポーツは健康増進にはならないほど
過酷です。
そこまで肉体を追い込んで継続するには
古傷のない,あっても影響がない身体が
必要です。

さらに,競技人生は短く,引退後の人生は
恐ろしく長いのです。
なにしろ,「人生100年」ですから。
若いうちは筋力でカバーできても
年取ったら歩くのが大変になりそうな
アスリート学生も多いのです。

だから,子どもの指導者さんには
目の前の勝利よりも末永い子どもの将来を考えて
身体を大事にした指導をお願いしたいのです。
不可抗力のけがは仕方がないとしても
オーバーワークで消耗して傷つけるのは
やめてください。

子どもは大人にやれと言われたらNOとはいえません。
どこまでやったら痛めるのかもわかっていません。
ケガする前に止めるのが指導者,そして
周りの大人の仕事だと思います。