人の死をリア充に使うのはやめて欲しい
ファッションデザイナーのアルベール・エルバスが新型コロナウィルスで亡くなった。エルバスは2001~2015年まで務めた「ランバン」のクリエイティブディレクターとしてのキャリアが最も知られているのではないだろうか。正直なところ落ち目だった当時の「ランバン」を立て直した功労者である。その後はしばらく活動がなかったが、最近リシュモングループと共同で「AZファクトリー」というブランドをスタートさせ、今年1月のパリコレクションで最初のコレクションを発表したばかりだった。
享年59歳。まだ若い。
才能があっても、お金があっても、コロナで死んでしまうモノなんだ、と今更思った。
私はもう長い間のロックダウンにひたすら疲れ、コロナのせいで大きな仕事がないのに怒り、旅にも行けずイベントもない日々に失望し、単にがんじがらめで逃げる術がない現状への不満で生きていた。この現状を打破できないのは自分のせいもあるとはわかっていても、コロナのせいにして駄々っ子のようにすねていた。そして、コロナを恐れることは少し忘れていた。
でも今はまず、コロナから生き延びなければいけないのだ。
今日は雨なので、少々心の調子が良くなく、暗い話になってしまった。すみません。
が、最後に毒を吐かせていただくと、エルバスが亡くなって、いちいちSNSに「RIP」を上げるのは興ざめだ。故人とすごく親しかったのならともかく、たかだか仕事でちょっと会ったぐらいで、SNSでみんなにわざわざ発信するって何? その死を悲しめば悲しむほど、SNSにあげているのが薄っぺらく感じる。人の死は、あなたのリア充のためにあるわけじゃない。
だから、私は「アルベール・エルバス」をハッシュタグにはつけない。
(写真はアルベール・エルバスのブランド、AZファクトリーから拝借しました)
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