国際結婚
夫はフランス人だ。国際結婚ていうやつだ。国際結婚をしていると周りにも同じような人が集まるし、TVや雑誌を見てもバイレイシャル(世間一般でいうハーフ)のタレントやモデルもいるし、なんかもう珍しいことではないのかなと感じてしまうこともあるが、やはり一般的な反応は「へ〜、国際結婚?フランス人?すご〜い。どこで知り合ったの〜?フランス語できる?」みたいな感じだろうか。
国際結婚は大変だ、と思われるかもしれない。確かに簡単ではない。国籍が違うことで、日本人同士の結婚とは手続きで異なる部分もあるし(相手の国側にも届けだすとか)、もちろん言葉が異なるし、社会文化背景も異なる。そんな2人がなんの因果か出会い、恋に落ち、大いなる勘違いをして一生を過ごそうと考えてしまったのだ。日々過ごす現実は決して夢物語では終わらない。
でも、結婚てそんなもんじゃないかなと思う。結婚だけではない。人間関係って勘違いと誤解の繰り返しで、その絡まった糸をほぐしていく作業だ。国際結婚にはもしかしたらもう少し負荷がかかっているのかもしれないが、日本人同士も異なる家庭環境からやってくるのだから、たいして変わらないと思う。私たちはふつう相手の考えを100%理解することはできない。漫画の吹き出しのように、相手の気持ちが文字化されて見えたりはしない。相手の言葉、表情、声音、ジェスチャー、温度、そういったものを理解しようと努力することによってでしか、相手を理解する手立てがない。そこには大いなる勘違いは存在するだろう。その勘違いがプラスに働くことも、マイナスに働くこともあるかもしれない。それでも私たちは相手を理解しようとする努力、相手に理解してもらおうとする努力をやめない。やめたら、その人間関係は崩れてしまうから。
フランス人の夫はミステリーだ。きっと夫も私について同じことを思っているだろう。ミステリーはわくわくするものだけでなく、知らなければよかったものもあるし、恐ろしい類のものもあるが、私たちは未だ知らない相手を理解しようと努力しあっているようだ。