電話で話したことなど

雨が続いて、洗濯物が乾かず、夜にコインランドリーに出かけた時に彼に電話をした。

家族に会話が筒ぬけになるから、家では彼に電話なんてできないけど、夜に外出するときは電話できる。

誰もいないコインランドリーでは、周囲を気にすることなく彼と話せた。

その中で、一気にまた雲行きが変わるような話を聞いた。

彼が話していたことは、
・エマさんが前に言っていたとおり、これが最後という気持ちで2人の時間を大切にするのがいいと思う
・エマさんからか、俺からかわからないけれど、会うのをやめようという話にいつかなるかもしれないから

そう、私は彼に「いつもこれが最後になるかも」という気持ちで会っていて、それを彼にも伝えていた。
 
自分が言ったことでも、彼から言われると悲しくて「それは今すぐは悲しい」となんとか伝えると、彼も「それはそう、今ってことじゃないから」と言ってくれた。

ほんの少し前に「終わることはない」と言っていた彼だったのに。

でも、「終わることはない」はものすごく嬉しかったけど、極論ではあった。彼もきっと、願望を言ってたのかな、と今は思う。

一回でも「終わることはない」なんて言ってくれたことが嬉しいと思わないと。

私はもちろん、彼も「終わらないといいな」とは思ってる気がするから、このまましばらくは続くような気はする。

その話のときだけでなく、電話をしている間ずっと、彼の声が静かで、話すことも今悩んでいることやこの先への不安な気持ちだった。

そんなに悩んでいるなんて知らなかった、と言うと「エマさんとは急接近したからね」と彼。

彼は本当は、私と関係性をもつ余裕はないぐらいの精神状態なのかもしれない、とも感じた。

悩みや不安があるからこそ、女性を求めているということなのかもしれない。
 
彼が私にガツガツしないところ、会う日も私の都合を優先して決めるところなどが、余裕がある感じに見えていた。

そうではなくて、積極的に何かしたり、物事を決めていくパワーがなかったのかもしれない。  

そう思うぐらい、彼の声には元気がなかった。

それでも、私と会えたことをよかったと言ってくれて、暗い声で、私とは体の相性がいいし、とも話してくれた。

私は、なんとも言えず、せつなかった。 
 
そんな体の相性とか言ってる場合じゃないでしょう、ともはや色恋ではなく、母のような気持ちで心配になった。

最初から彼は、お母さんがいないから、年上の女性がいいと言っていた。そのとおりに私は彼を案じて、何かしてあげたい気になっている。

彼の悩みは、彼の生家に起因することで、もう40超えてもそんなに影響するのかと聞くと「そう」と。

私に彼ほど深い悩みがないのは、実家のおかげもあるだろう。本当に困ったら手を差し伸べてくれることがわかっている。

彼にはそれがない。
何もないならまだしも、実家のことが悩みになり、今後の不安にもなっている感じだ。

彼の力に少しでもなりたい。
といっても、聞こえがいいことを言うのが苦手だし、嘘になることは言いたくない。

「一人で考えててもよくないから、私にも話してほしい」とだけ言えた。

彼も「話しますよ」と言ってくれた。

今の状況を知ったからには、少しでも何かしたい、せめて話は聞こうと思っている。

その電話の翌日の夜。
心配だったので、LINEをした。

話聞いたりはできるので、みたいなありきたりなことを送る。

彼は、⚪︎日に会えれば元気になるので、と返信をくれた。

そこで「おやすみなさい」で終われば何事もなかった。

私はもう一歩踏み込んで、以前に彼の生い立ちを聞いた時に家に帰ってから私が泣いたことを初めて伝えた。そのあと何回も会ってるけど、言っていなかったこと。 

どうして伝えたくなったのかわからないけど、私も泣くほど気にしてることを言いたかったのかな。好きアピールみたいなものかな。我ながら、暴走した。

彼の反応は「今に始まったことじゃないから、あまり気にしないで」といったもの。そして「もう寝ますね」と。

そうなることは何となくわかっていた。

塩対応されることは予想できたのに、私もいること、口だけではないということを伝えたくなった。

泣いたからなんだ、って話ではある。

彼は心配されたりするのは嫌なのかな。
私も、夫のことで苦しかった時期には、人に心配してもらっても何にもならないと思っていた。

次に会うとき、私から「泣いたとかわざわざ言ってごめんなさい」と言おうかな。

私はなぜか、彼には言いにくいことも言える。その度に緊張はするけど、それでも言いたいことを言いたいし、聞きたいことは聞きたくなる。

一番初めの頃には「LINEを聞かれてドキドキして困った」と言ったり「どうしてLINEを聞いたんですか」とも聞いた。

どんな反応でも、それを見てみたいと思ってしまう。

彼は自分でも「猫タイプ」と言っていた。本当にわかりやすいほど、これでまた遠ざかってしまった感じだ。

せっかく近づいていたのに。
これまでもこんなふうに、助けたいと思う人のことを遠ざけてきたのかもしれない。
悩みを話せる友達もいないと言っていた。

彼は人に頼ることが苦手なのだろう。私も、何でもできるわけではないけど、少なくとも傷つけることはしないつもり。

もしかしたら、終わってしまうかもしれない。
それでも、気持ちは伝えたい。

ここまで書いて、怖くて見直せなかったトーク画面を見てみたら、彼からの最後のLINEに4つも文があって、全部の文に絵文字か顔文字が入ってた。

再読して、別に塩対応じゃなくて、私に「気にしないでほしい」と伝えたかったのかなと感じた。

次に会う日は決まっているから、会えたら、このことも話題にしていこう、と思う。

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