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私が世界一好きな絵画の話
突然ですが、私は絵画が好きです。
特に好きな画家はゴッホです。
彼の作品の中で一番好きなのが「夜のカフェテラス」です。
死ぬまでに一度はこの目で実物を見てみたい。
日本に来る機会があるとは限らないのでこちらから出向きました。
オランダのオッテルローにあるクレラーミュラー美術館へ。
ハネムーンの行先
私たち夫婦は当初、結婚式もハネムーンも考えていませんでした。
結婚式は準備が大変だろうし、お金かかるし、自分が主役の日ってもうなんかいたたまれない…と私からNGを出しました。
なので、フォトウエディングだけにし、結果とっても満足しています。
ハネムーンも「いつか行けたらいいよね」くらいのノリでした。
なぜなら円安だったから。ハネムーン=海外!と思っていた私にとって、この円安はかなり痛かったです。ポストコロナで渡航規制がなくなったと思ったらここ数十年稀にみる円安。悲しい。
しかし、前職で月一海外へ行っていた私にとって、コロナの間海外に行けないことがじわじわとストレスを溜めていき、「海外旅行したい…海外行きたい…」と思う日が増えていきました。
結婚からそろそろ半年といったあたりで、友達から「ハネムーンでモルディブに行ってきたよ!」とお土産をもらいました。
そのことを夫に話したら、「もしハネムーン行くならどこがいい?」と。
リゾート地も楽しそうだし、ディズニーとハリーポッターが大好きだから本場のディズニーランドとユニバーサルスタジオをはしごするのも楽しそう。ヨーロッパに行って美術三昧な旅も素敵だな。行ったことない国に行ってみたい気もする。…待てよ、もしこの先子供ができたとして、リゾート地もテーマパークも一緒に行けるけど美術館巡りは難しいかも?であれば二人の時に満喫するのが正解かも?ということは、死ぬまでに一度は見たいと願ったあの絵を見に行くのはどうか?うん、もうそれしかない!
「オランダに行きたいです」
「え、オランダ?なんで?」
「夜のカフェテラスをこの目で見たい。世界で一番好きな絵画なのです」
「なるほど。ではオランダに行きましょう」
こうして私たちのハネムーンの行先は決まったのでした。
準備開始
それからハネムーンに向け、大まかな計画を練り、スケジューリングをして、オランダ+ベルギーへの旅が決まりました。
ちなみに、予算、タイムスケジュール、行きたい場所リスト、持ち物リストなどすべてNotionにまとめ、夫と共有し更新しながらブラッシュアップしていきました。このNotionを友達に見せると「仕事かよ」と突っ込まれましたが、我々にとってこれが一番スムーズに進められるので何か大きなイベントごと(結婚・引っ越し・出産など)の時は毎回Notionを使ってます。
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メインイベントはもちろん「夜のカフェテラス」を見に行くこと。
クレラーミュラー美術館にあるということは知ってたけど、クレラーミュラー美術館がオランダのどこにあるかは知らなかったので、調べて一度挫折しかけました。アムステルダムから電車とバスを乗り継いで2時間くらいかかる辺鄙なところにあるなんて聞いてない!オッテルローってどこよ!?
行き方を紹介しているブログやYoutubeを調べまくって、できる準備はすべてやりました。大丈夫、きっとたどり着けるはず。
ちなみに夫の一番の心配事は、ずばり「ごはん」。
毎日の3食ちゃんと食べられるかどうか。ごはん難民にならないかが一番心配だと。
そこはもう私に任せて下さいと、今までの仕事で築いたネットワークをフルに活用して巡る都市付近に在住の友達に「おすすめのレストラン教えて!」とDM。みんなお気に入りのレストランを何個も教えてくれたのでそれをリスト化してNotionにあげ、夫の不安は解消されました。
あとから「行く先々に知り合いがいるなんて君は一体何者なの?」と驚かれましたが、ドヤ顔で「すげーだろ」とだけ言っておきました。
いざ、出発
あれよあれよという間に出発の日。
夫は社員旅行のグアムに行っただけの海外初心者。飛行機に乗るだけでテンションMAXな夫と久々の海外にテンションMAXな私。ロードムービーを撮ろうと持参したGoproを後で見返すと、空港に着く前からそれはそれは楽しそうな二人が映っていました。Gopro買ってよかった。
ドバイ経由で約1日かけアムステルダムに到着。ロシアの上を飛べないとこんなに不便なのね…
あと日本国内より海外の免税店の方が高いってどういうこと?ほぼ何も買えなかったです。円安つらい…
ちなみに今回はツアーではなく航空券もホテルも全部自分たちで手配しました。その方が安いし自由度高いので私は断然個人手配派です。アムステルダム着で旅行中に陸路でベルギーに行き、ブリュッセル発で帰国なんていうわがままなスケジュールも可能!旅慣れ + 英語が話せてよかったと思う瞬間でした。
問題なくホテルにチェックインし、荷物を置いて街に繰り出しました。
アムステルダムといえば運河!初日はディナークルーズ(ハネムーンっぽいでしょ)を予約しておいたので、美味しい料理と贅沢な空間を満喫し(途中から時差ボケで眠気と闘いながら)1日目は終了。くたくたになって速攻で眠りに落ちました。
クレラーミュラー美術館への行き方
翌日、ついに「夜のカフェテラス」と対面を果たす日!
朝からそわそわが止まりません。朝ごはんは駅のスタバでドでかいマフィンを買い込み、事前に調べていた電車に乗り込んでから食べましたが、正直味を覚えてません。
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出発時間に出発しないのはデフォルト
アムステルダムからクレラーミュラー美術館への行き方は、アムステルダム中央駅からエーデ=ヴァーヘニンゲン駅に行き、エーデ=ヴァーへニンゲン駅からアペルドールン行きのバス108番に乗車、オッテルロー、ロトンデで下車して、デ・ホーヘ・フェイルヴェ国立公園方面へ向かう小型バス(ミニバンくらいの大きさ)106番に乗車し、オッテルローの公園入園口を通過後(ここで公園の入場料かかります)、クレラー・ミュラー美術館前で下車。
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ね、挫折しそうでしょ。しかもバスが1時間に1本とかいうレベルの頻度なので、逃すと大幅なタイムロスになります。
事前の入念な下調べのおかげで無事タイムロスなくクレラーミュラー美術館にたどり着くことができました。
ついに「夜のカフェテラス」と対面
辺鄙なところにあるからなのか、朝一ダッシュできたからなのか、私たちが着いたときはほとんどお客さんがいませんでした。
これ幸いと順路ガン無視でメインのゴッホルームへの小走りで向かいました。
案内を見ながらどんどん進んで、最後のコーナーを曲がったとき、それは現れました。まっすぐ伸びた廊下の奥に、シンプルな額縁に入った絵画。
私の世界一好きな絵画。
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真ん中にあるのが「夜のカフェテラス」
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Terrace of a Café at Night (Place du Forum), c. 16-17 September 1888
ふらふらと近づき、その力強い筆跡の凹凸を見て、すぐに涙がこみ上げてきました。美しいものを見るとすぐに泣いてしまうのですが、この絵は別格でした。夢が叶った瞬間でもあったから。この時のことはきっと生涯忘れることはないと思います。
しばらく夢見心地で眺め、そのあと端から端まで、しっかり細部までひとしきり嘗め回すように眺めた後、絵の説明があることに気づきました。
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ファン・ゴッホが南フランスのアルルに着いてから6か月以上経った頃、このガスランプの灯るカフェテラスを描きました。彼は黒色を使わずに夜の風景を描くことに挑み、それが彼のマスターピースのひとつとなりました。
数々の光とカフェのひさし、オレンジのフロア。周りの暗いブルーとグリーンの色合いと差をつけ、カフェテラスをシャープに描き出しています。黄色いガスランプが青い星空を強調おり、この作品で初めて彼を象徴するイエローとブルーの対比が使われました。夏の夜の蒸し暑さが伸びやかに表現され絵から溢れ出てくるようです。
描かれている星座の配置から、天文学の調査でこの絵は1888年の9月16-17日に描かれたものと証明されました。
訳すとこんな感じ。これを読んで私は運命的なものを感じました。
この絵は私が生まれるぴったり100年前に描かれたものだったからです。日付までぴったりなんて!と鳥肌が収まらないまま夫に報告すると、夫もびっくりして二人で鳥肌ブルブルでした。
興奮しまくる私に「だからこんなに好きなんだね、納得」と夫は一人納得して微笑んでました。
それからも本当に誰もいなくて、夫とふたり占めの空間。ものすごく贅沢な時間でした。日本では考えられない距離感で一時間以上ゴッホの傑作の数々を独占できて感無量。
「夜のカフェテラス」以外にも、「アルルの跳ね橋」「糸杉と星の見える道」「花咲く桃の木 モーヴの思い出」「ゆりかごを揺らすルーラン夫人(子守唄)」など有名なゴッホの絵画は数多くあり、どれもこれも傑作でずっと見続けていたかったです。
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Bridge at Arles (Pont de Langlois), mid-March 1888
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Country Road in Provence by Night, c. 12-15 May 1890
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Pink Peach Trees ('Souvenir de Mauve'), c. 30 March 1888
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La Berceuse (portrait of Madame Roulin), December 1888 - January 1889
この距離でこんな写真撮れることあります?やばくないですか?
なんだったら、凹凸の感じを記録したくてこんな写真まで撮ってます。
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実物を見ないとわからない、何層にも重なった絵の具の厚み。今まで何回も画像で見てるけど、実物は全然違いました。エネルギーがほとばしってました。この感情を伝えられる語彙力が欲しい!
文字通りへばりついて撮影して、目にも焼き付けたっぷり堪能したあたりで人が増え始めたので、一旦ゴッホルームを後に。
美術館内にあるカフェでランチを食べましたが、胸がいっぱいで思ったより食べられない且つ一個一個の料理が大きくて食べきることができませんでした。だってスープもサラダも洗面器くらいの器でパンまでついてくるなんて聞いてない!
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自分へのお土産
ランチを食べれるだけ食べた後、ミュージアムショップに立ち寄りました。ここでしか買えないと思ったらテンション上がるよね。
出発の際、二人で決めたことが一つあります。それは「現地に着いたら円安は忘れる」です。せっかくのハネムーン。一生に一度なのだから円安を気にしてやりたいこと、食べたいもの、買いたいものを我慢するのはやめよう。支払いは来月の私たちに託そう。なんとかなる!大丈夫、そのために日々仕事をしてるんだ!ダブルインカム万歳!その言葉を胸に、ニコニコしながらショップに入りました。
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出発前からミュージアム限定のミッフィーが欲しいと思っていたので、夜のカフェテラスのミッフィーを探したのですが、いたのは花咲く桃の木のデザインの服を着たミッフィー。もちろんお買い上げ。(後日別の美術館でも買い、合計4ミッフィーを連れて帰ることに)夜のカフェテラス柄のグッズも欲しくて、眼鏡ケースと眼鏡拭きをセットで買いました。どこかへ泊りがけで行くときはいつもこのケースを使ってはニタニタしています。
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帰る前にもう一度
お土産も買って大満足。そろそろ次の目的地(ミッフィーの生まれた街、ユトレヒト)に行くか!となったので、最後にもう一度「夜のカフェテラス」を見に行きました。次いつ会えるかわからない、もしかしたら二度と実物を見ることはできないかもしれない。そんな気持ちでじっくり堪能し、後ろ髪を引かれながら美術館を後にしました。
世界一好きな絵画の実物をこの目で見れたこと。何にも代えがたい思い出になりました。たくさん準備して、ゴッホについても調べなおして挑んだ今回の邂逅。行こうと決めた瞬間からずっと楽しかったです。
帰国後も、次この絵に会えるのはリタイア後か、もしくは子供が美術に興味を持ってくれたらもう少し早くか…なんて時折思い出に浸ったりして、壁に飾ったポストカードやミッフィーを眺めていたのですが、先日こんなニュースが飛び込んできました。
大ゴッホ展
なんと「夜のカフェテラス」が来日するそうです!
思ってたよりかなり、というかびっくりするほど早く再会できるかもしれない!しかも「夜のカフェテラス」だけでなく「アルルの跳ね橋」や「自画像」などクレラーミュラー美術館貯蔵の作品がたくさんやってくるそうです。2025年の後半から2026年にかけてであれば、生まれてくるベビーも1歳を超えて一緒にお出かけ or 夫に預けることができるだろう。あの時のように独り占めはできなくとも、また肉眼で拝めるのであれば行くしかない!早速夫に報告したら二つ返事でOKをもらいました。夫に感謝。今から楽しみでなりません。
最後に
気づけは6000字ほどつらつらと書き綴ってしまいました。
好きなモノのことを書き始めると止まらないよね。
いつかいつかと思っていたら機会を逃してしまう。そうならないための行動力が大事だなと改めて思いました。
好きなモノ・コトには全力で!人生は一度きり!
クレラーミュラー美術館に行ったのは昨年の11月なので、もう半年以上前のことですが、まだ鮮明に覚えているし、写真や動画をたくさん撮っていたので記憶を呼び起こすのが簡単でした。もともと写真を撮ることが少なかった私たちですが、夫婦になってから思い出はなるべく残したい、最新のガジェット使いたいとGoproを買いました。それからは旅行やお出かけはもちろん、日常のちょっとしたことも記録するようになりました。子供が生まれてからも活躍してくれることでしょう。
こんな駄文長文を最後まで読んでいただき、感謝です。
こんな感じで記録に残したいことをこれからも書いていこうと思います。
また読んでやってもいいよと思っていただければ、フォローやコメントしてもらえると泣いて喜びます。
See you next time,
emma
おまけ
もしオランダで美術三昧の旅をするならミュージアムカードの購入を強くお勧めします!€75で5回美術館に入れるので、1回€15。主要な美術館は軒並み€15以上するので断然お得です。オランダに住所がある人なら1年有効で、回数無制限らしくうらやましいことこの上ない!移住するならオランダにする!と思った次第です。