【EMLink活用レポート#3】EMLは共に進化するパートナー。経営と現場が抱くEMLinkへの期待とは
同じ企業内でも、経営者と現場では抱えている課題やクラウドサービスに求めるものも異なってくるものだ。経営者と現場では、それぞれどのような課題を抱え、EMLinkにどのような期待を抱いているのだろうか。EMLinkを導入した互応化学工業株式会社の取締役 金子 晋治氏と、現場でEMLinkの運用を担当する五十川 翔氏に話を聞いた。
スムーズなデータ管理で次の世代へ確実に情報をつなぐ
互応化学工業株式会社はヘアセット用樹脂で国内7割以上のシェアを誇るなど、化粧品や合成繊維などに使用されるスペシャリティ・ケミカルズの開発、生産で国内外の様々な分野に貢献している企業だ。京都府宇治市の本社工場の他に福井と滋賀にも工場を持つ互応化学工業は工場の規模も大きく、設備投資にかける予算も数千万円〜数億円以上と高額になるという。そんな設備投資における課題が、EMLinkの導入を決めた要因の1つだと金子氏は語る。
「これまでは設備投資の意思決定については私一人で行なっていたのですが、会社も成長し、コスト削減が叫ばれている中で、経営陣としてもっと設備投資に対してしっかりと向き合っていかなければという思いを強く持っていました。しかし、会議で設備投資について議論しようにも、議論に足るだけの資料やエビデンスがないことがネックでした」(金子氏)
互応化学工業はEMLink導入以前には紙やExcelでデータ管理を行っていた。この管理方法に関し金子氏は「正直、“その場しのぎ”のデータ管理になっていたと思います。その時々の問題に向き合うことで精一杯で、過去のデータをじっくり振り返ることもできていなかったのです。これらのデータも元々は10数年前に福井工場でまとめはじめたものであり、滋賀工場と本社になるとデータを探すことすらままならないものもあります」と振り返る。
紙やExcelでのデータ管理では、設備投資の戦略策定に不十分だと考えていたと語る金子氏。特に金子氏が問題視していたのがフォーマットの改変や記録の見つけにくさだったという。Excelは長期間使っていく中でフォーマットが意図せず変わってしまうこともあり、紙はどこかに紛れて探し出すのに膨大な時間を要してしまうことも少なくない。様々な業務に追われる工場では、データを確実に継承していくこと自体が難しいものだ。しかし、過去データの振り返りもすべて経費削減や安全な工場作りにつながっていくと考えていた金子氏にとって、正確なデータを蓄積していくことは重要な課題であった。過去の振り返りまでスムーズにできる方法を模索していた金子氏は、「EMLinkなら見たい時に必要な情報がすぐに引き出せ、より効率よく、確実に次の世代へ情報を繋げていける」と感じたという。
新たな視点と徹底した管理でコスト削減を狙う
設備投資に向き合うためにEMLinkを導入したと話す金子氏。設備投資が大きく関わるコスト削減において、EMLinkにどのような期待を寄せているかも聞いた。
「期待するのは主に2つの効果です。1つめは投資の妥当性に関する新たな視点です。これまでの設備投資では設備会社と自分たちが持つ知識の中で投資計画を立ててきましたが、違う角度から見れば別の選択肢も見えてくるかもしれません。EMLinkを使えば投資の必要性や投資金額の妥当性に関してこれまでとは違う角度からの見解も得られるのではないかと期待しています。2つめは点検・整備の徹底による耐用年数の延長です。我々の設備投資は場合によっては数億円単位の金額に及ぶこともあるため、設備更新時期の重複が懸念材料になっています。EMLinkで適切な点検・整備がなされることで設備の更新時期を1年でも2年でも調整することができれば、コスト削減やスムーズな投資計画につながると期待しています」(金子氏)
金子氏の話からEMLinkに対する様々な期待が感じられるが、互応化学工業のように長年稼働している工場では、老朽化したプラントをデジタルシステムで管理していくことに不安を抱く企業も少なくない。導入時にそうした不安はなかったかを金子氏に問うと、むしろデジタル化を積極的に捉えた答えが返ってきた。「今後の互応化学工業はいずれデジタル管理が主体になっていくと考えています。しかしDX化と言っても何から始めていけばいいのか、まだ模索しているところです。EMLinkがDX化の第一歩になればと期待しています」と話すように、金子氏はEMLinkに工場DXへの布石的役割も期待しているようだ。
共に進化するパートナーとして。EMLの開発力とサポートに期待
一方現場ではEMLinkをどのように評価しているのか。現場でEMLinkの管理責任者を務める五十川氏に尋ねたところ、「設備に関する全ての情報を一か所で管理できるのが良いと思っています。これまでは情報を探すのにとても時間がかかっていましたし、結果として探すのをあきらめることもしばしばありました。データを探す場所をぐっと絞れることは、現場にとって非常に大きな意味があります」と、EMLinkによるデータ管理の効率化を実感する答えが返ってきた。さらに五十川氏はEMLinkへの今後の期待も語ってくれた。
「1つの設備について複数人で管理をしていると、設備の名前を伝えてもどの設備のことを指しているのか齟齬が起きてしまうことが多々あります。デジタルシステムを導入するとなったとき、現場が期待していたのがそういった認識の食い違いを防ぐことでした。そういった食い違いがEMLinkにより大きく解消されると思いますし、新機能の『インテリジェントコネクト』によってデジタルツインのようにより直感的にデータの入力や閲覧ができるようになれば、データ管理が更に楽になると期待しています」(五十川氏)
五十川氏が特に気に入っている機能が勧告機能だという。保全報告書からも勧告が作れる機能や設備への対応時期を知らせてくれる機能は、紙やExcelデータで管理していた互応化学工業にとって特に便利さを実感できる機能のようだ。とはいえまだ機能面での要望はあると語る五十川氏。しかし、EML(設備保全総合研究所)のサポートに対しても高く評価しているようだ。
「これまでいくつも質問や要望を出させていただきましたが、いつも的確な答えをいただけるので助かっています。要望に対し開発予定の機能があればきちんとお話しいただけますし、できないことはできないとはっきり伝えていただけるので、こちらも計画が立てやすいです。単にデジタルシステムへのサポートというだけでなく、機器リストを作る上でのポイントや整理の仕方を教えていただくなど、保全をトータルでサポートしていただけて勉強にもなっています。まだデータ入力をしている途中段階ですが、入力方法にも慣れてきたので今後の運用に期待しています」(五十川氏)
EMLのサポートや開発力については金子氏も評価しており、「経験を積んだ人材が集まっている」という第一印象を抱いたという。サポートや開発力も重要だが、特に評価しているのはEMLの“共に成長していこうとする姿勢”だと金子氏は語る。
「我々は名前の通り“互いに応じ合い、成長し合う”ことをモットーに掲げており、互いに成長できる企業様と一緒に仕事をしたいと考えています。私は立場上システム関連の企業様と接触することも多いのですが、EMLは現時点でできないことに対し、“意見や要望を聞きながら進化していきます”という姿勢が印象的でした。開発スピードも比較的早いと感じています。多くの企業では要望を出してからアクションを起こすまでに1年はかかってしまうイメージですが、EMLはすぐに検討を開始し、対応できる範囲の改良であればすぐに着手してくれます。そのように共に進化できると感じたのが、EMLinkを導入した決め手です」(金子氏)
互応化学工業ではEMLinkを単なるデータ管理ツールとしてではなく、今後の経営戦略をより良くするパートナーとして考えているようだ。EMLはそうした企業の期待に応えるべく、これからも進化を続けていく。
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