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北欧に学ぶ:ダイバーシティ文化を醸成する仕組みのデザイン

2023年、日本の約70%が共働き世帯になったと言われています(労働政策研究所)。この30年でまさに倍増です。

背景には、女性の社会進出やダイバーシティ浸透などの社会変化、賃金上昇の停滞による家庭の経済的な変化、専業主婦ではなくキャリアを作ろうという女性のマインド変化などがあると言われています。

社会からも、家庭からも、そして働く個人からも求められているダイバーシティを成長戦略の1つとして、企業も自分ごととして取り組んでいます。2016年から2020年の間に約50%の企業が何らかのダイバーシティ推進活動を始めたとのデータにも裏付けされています(日本の人事部)。

背景には、採用力をもっと高めたい、多様な人材にもっと活躍してほしい、もっと長く働いてほしいといった切実な課題感もあり、各社ダイバーシティ推進室を設置するなど具体的なアクションに取り組んでいます。

DEIの先進国北欧に学ぶ

私が2年留学して、昨夏も家族で過ごしたフィンランドでは、人口約500万という小国であり、資源に乏しいため、歴史的に男性、女性あるいは障害を持つ人関係なく、すべての人が働ける環境を戦略的に推進しています。

そんなDEI(多様性・公平性・包括性)の先進国である北欧の企業・組織・人からヒントをお届けする機会を、Helsinki Partnersとのイベントに続いて、インクルーシブな社会を拓くメディアMashing Upさんからいただきました。

私が頑張るDEIから、仕組みとしてのDEIへ

私が北欧に足を運ぶたびにいつも驚くのは、「仕組みのデザイン」がとてもうまいことです。

やっぱり、北欧といえば世界一幸福な国。
ひとりひとりの幸福を支えているのは、「幸せな社会の仕組み」だと私は考えています。例えば、教育だったり、子育て支援だったり、働き方だったり、再雇用だったり、Well-Beingを中心に仕組みが設計されてるからこその高い幸福度だと感じます。

企業の文脈に置き換えても、ダイバーシティ推進の取り組みや企業文化は、ある種の仕組みと言えるのではないでしょうか。経営ビジョン、人事制度、リーダーシップ、個人のマインドなど、多様な要素が絡み合いながら企業のダイバーシティ・カルチャーを形成しています。

この視点に立ち、Mashing UpさんのWell-Being Forumにても「ダイバーシティの文化を支える仕組みのデザイン」についてお話させていただきました。

1つには、Dei Deiさんという北欧のダイバーシティ・コンサルティング会社のアプローチを紹介させていただきました。

データに基づく意思決定
(従業員へのエンゲージメントサーベイ、採用候補者の調査などを踏まえた施策の立案や評価の仕組み)
戦略的なDEI方針策定
(データやありたい姿を踏まえた戦略)
DEIを浸透のための教育
(インクルーシブ・リーダーシップや、DEIの教養など)
企業文化の醸成
(いつもの業務で推進する価値観やDEIカルチャーの浸透)

もちろん、企業の業種や大きさ、女性比率などの状況によってアプローチは変わってくる前提ですが、課題先進国として長くDEIに取り組んできた北欧の企業からのアプローチをご紹介しています。

具体的な内要については、セミナー配信をぜひご覧いただけると嬉しいです(1/18まで無料配信しているそうです)。

自社のダイバーシティを俯瞰して見つめなおすために

北欧の事例だけではなく、経済産業省の経済社会政策室から公開されている「ダイバーシティ・コンパス」についても少しお話させてもらいました。

ダイバーシティ・コンパスとは、ダイバーシティ経営(多様な人材が共創して最大限能力を発揮しながら生産性やイノベーションの向上に繋げる経営)を後押しする施策の一環として作成されています。

ダイバーシティ経営の推進(METI)

先にも触れましたが、女性活躍推進だけでなく、内面的なダイバーシティを進めたい、あるいは、組織のカルチャーや人事制度だけではなく、個人のマインド醸成としてのダイバーシティを推進したりなど、ダイバーシティには、とても多面的な要素が絡み合います

その多面的な要素を、経営ビジョン・方針・施策領域・問いかけと抽象から具体まで俯瞰して見つめ直すツールであり、あるいは、企業における経営・人事・現場(リーダーシップ)の対話を促すような使われ方を想定して作成されています(今はまだプロトタイプとの位置付けのようです)。

このダイバーシティ・コンパス作成にあたり、カルチャーデザインファームKESIKIにて、私もお手伝いさせていただきました。人に寄り添うプロダクトやビジネスにとどまらず、政策にもデザインアプローチを応用していこうとするJAPAN+D(主に経済産業省の有志メンバーによる政策デザインコミュニティ)の取り組みの1つです。

具体的なコンパスの中身や制作秘話について、JAPAN+DのPodcast▽からも紹介されているので、お時間がある方はぜひ聴いてみてください。

わたしの努力から、みんなのダイバーシティへ

セミナーのQ&Aで「北欧では実現されていて、今の日本に足りないことは何ですか?」という質問をいただきました。

ダイバーシティと聞くと、ひとりひとりの努力の問題という捉え方もできるかもしれません。たしかに、家庭における男性の育児参加や、残業を美徳としない管理職のマインド、働く女性への偏見のない評価、など個人のマインドも大きいと思います。

一方で、社会や企業の仕組みとして、あるいは、人事や現場の枠を超えて、対話をしながらダイバーシティ施策を共創していく。こうした個人の努力を促すだけではなく、全体の仕組みとして、一緒にダイバーシティを進めていくこともまた大切だと感じています。

北欧には、自然とオープンに対話をする文化があります。
だからこそ、官民共創、オープンイノベーション、参加型デザインなどの取り組みが成果をあげています。ダイバーシティ推進もきっと同じです。

真のダイバーシティ社会を実現するためには、ひとりひとり、一社一社の枠を超えて、対話をしながら仕組みを考えていくみんなのダイバーシティが鍵になってくるのではないでしょうか。

多様性にあふれひとりひとりが幸せに働く社会を実現する、言葉は違っても目指すビジョンや方向性を同じくする組織や人が集まって、ダイバーシティとその先にあるウェルビーイングの流れを一緒につくっていけると嬉しいです。そのなかで、私にもできることがあればぜひお声がけください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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