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仕方がないけれど、仕方のないこと

昨日の朝、私は慌てていた。

自分の銀行口座間で振り込みをしようとしたら、知らない電話番号に認証コードが飛ぶというのだ。イマドキ珍しい固定電話の知らない番号だった。
だから、金融犯罪かもしれないと思って、急いでカスタマーセンターに電話をしようとしたのだ。

入ったばかりの会社の月初作業をするため、久しぶりに出勤したオフィス…にも関わらずである。

振り返ると、つい先日はちっともこんな番号出てこなかったし、何か違う方法でデジタルバンギングが出来たはずだ。

脳裏に、姑息な犯罪者の顔が浮かぶ。(ずっとモニタリングしていたけど、今度は大胆に自分の家の電話番号に変えてしまおう…ヒッヒッヒ。)なんて暗いモニターの前でにんまりしているのか?

慌てていたのでなかなかパスワードがうまく打てず、数回繰り返した後にやっとオペレーターにつながった。

「はい、登録されている電話番号は03-◯◯◯◯ -◯◯◯◯です。電話番号の登録を変更なさいますか?」

すました声のオペレーターは、ことも無げにそう言った。確か、金融犯罪へのお問い合わせの番号を通過してたどり着いたはずだ。

「電話番号は変更するとしても、だれの番号にいつすり替えられたかわからないままなのは怖いんです!」わたしは悲痛な声を出したかもしれない。

「少々お待ちください」としばらく保留音が流れた後、再開しオペレーターは申し訳無さそうに言った。

「…こちらの番号を登録されたのは、2008年でございます」

一気に脳内が2008年の自分に遡った!
結婚したのが2009年。
その前に住んでいた母と暮らしたあのアパート。濃いグレーの固定電話。あの部屋。初めてこの銀行に口座を作った時のこと…

あぁ言われてみればたしかにそんな番号だった。。

動揺しまくっていた。

「え、2008年ですか?え、2008年?あぁ…じゃ私の電話番号である可能性が高いわけなんですね。わ、、かりました。

(ここまで来てうっすら思い出す)

あ、最近もしかして認証のシステム変わりました?あ、なんかありましたよね。あ〜、やっぱり。それか!ありがとうございます!」

固定電話から今持つ携帯電話に、番号を変えてもらったけど、電話を切った後も動揺していた。

金融犯罪者なんかいない。

システムが変わったんだから、こんな問い合わせで溢れてるんだろうなあ。

15年前か。
結婚して、出産して、育児して、離婚して。その間4回家が変わったんだから、仕方ないよ。

間違えたって仕方ない。

そういえば、もうすぐ来る射手座満月は射手座の30度で起きる。そのサビアンシンボルは

A widow's past brought to light.
未亡人の過去が明るみに出る

(サビアンシンボルとは、ホロスコープの度数にチャネリングで詩文をつけたもの)

過去の遺物を回収する。
そういえばあの電話番号、母はどう始末したんだろうか。