見出し画像

I was happy to fade


「落ちてく」三部作の最終回にして、
最初の種でもあった始まりの部分。
今回はその部分を書いて行こうと思います。


前回、前々回をまだ見てないよ!という方は、
前のを見てもらえると今回のにより繋がります。

①前々回リンク↓


②前回リンク↓



今回のタイトルである
I was happy to fade

これは、米フロリダ州出身のアーティスト
ベン・クーパーのソロプロジェクトである
Radical Face の曲の歌詞から取り出した一節です。

ようやくここまで辿り着きました。

前回から続く「落ちて行く幸せ」のお話は、
この一節を書きたいがために始まったのです。
これを伝えたかった。

I was happy to fade の世界に落ちて行くことを書きたくて、
長い道のりを経て
やっと今ここまで来ました。

I was happy to fade は、
Radical Face の『Sleepwalking』
という曲の中からの一節。
この曲ももちろん
「落ちてくMUSICリスト」に含まれます。
ある意味、今回の原種であります。

『Sleepwalking』という曲は
白昼夢の中で、
現実とあちらの世界を行ったり来たりしながら、
この物語のエンディングの、
この曲の歌詞の最後に
I  was happy  to fade
(薄れて消えて行くことが嬉しい
喜んで消えて行く、幸せ)
と描かれている曲です。

この『Sleepwalking』という曲を、
よかったら聴いてみて下さい。



【落ちてくMUSIC 原種】
Sleepwalking / Radical  Face

Radical  Faceことベン・クーパーが紡ぎ出す物語。それが音楽の中で描かれています。もっとも才能豊かなストーリーテラーと彼が言われているのも納得します。

〈落ちてくポイント〉
夢と現実、その狭間、あいだの世界、現実でもなく、夢でもなく、どちらでもない世界、そこでただ、ひとつになり、薄れて行く、幸せだ、そう囁き、消えて行く。

※〈落ちてくポイント〉は、私の完全なる独り言です。落ちて行き方は人それぞれ。


「消えていく幸せ」
そこにこの世界の全てが集約されているように思います。

自分というものがこの世界に存在し
それは確かだけれども不確かで
どちらなのかはどちらでもいいけど
だけども消えていくというこのことは
自分が存在していたという証であるのか
そうだとしたら
自分は存在していたのだということに
想いを巡らせ
幸せだと思う
それは夢なのかもしれないけれども


そんなことを、
I was happy to fade と言う一節から感じとったのでした。

まさに白昼夢のようなことですけど、そこに私は現実を見ているのです。
自分と繋がり、自分を見つめる現実。
私たちが現実だと思ってる現実は、誰かの型にはまった誰かに作られた現実かもしれません。
自分と向き合って考えていないと、この忙しい毎日の中で誰かに簡単に現実を作られてしまう。
白昼夢でもいいので、自分をしっかり感じていて欲しいなと思うのです。
感じることを忘れないで。
自分自身に言っています。
でも今この世界の現実はそちらではないので、向き合ったらちゃんとこちらに帰って来て下さいね。

多くの人が、自分で考える、感じる、ということを忘れがちになっている現代なのだと思います。
最近は瞑想するのがブームでもありますが、みんながみんな自分を忘れがちな世の中だから、自分と向き合うための瞑想が必要になっているのではないかなと感じています。
私はいつ何時も思考がうるさ過ぎて、瞑想があまり得意ではないのですが、音楽の中に入ればうるさい思考も消えるので、そんな人は音楽瞑想なんか良いのではないかと思いました。
音楽の中に落ちて行く。

これはまた長くなってしまいそうです。

最後に、今回紹介したRadical  Faceことベン・クーパーのアーティストとしての素晴らしいアートさ(なんだそれは⁉︎)と、私とベン・クーパーとの思い出(誰もそれ求めてない)のお話をして終わりにしたいと思います。

| Radical  Face と 私

2008年、このベン・クーパーが Radical Face として名古屋の小さなライブハウスにツアーで来た時に、私はそのライブへ行き、森の熊さんのような可愛らしい風貌のベン・クーパーと少し話す機会がありました。
その時に、この曲のこの歌詞の部分「I was happy to fade」がとても好きだ。と伝えると、ベン・クーパーも、僕も好きだ。と言っておられました。
この歌詞を書いた本人に伝えたい程、この一節には深い思いがあったのです。

そして私はセットリスト収集家でもあるので、この時のセットリストを、ベン・クーパーからありがたくいただいておりました。

セットリストとはご存知でしょうか。
音楽ライブなどでアーティストが演奏する曲順を紙切れに書いてあるもので、大抵ボーカルの方の下にある機材かなんかに貼り付けてあります。
ライブ前に決めておいた演奏の曲順を、忘れないように紙に書いて貼り付けてあるのです。
私はそれを機会があればありがたく頂戴して、
収集しているのです。

その中でもベン・クーパーのセットリストは、
ただのセットリストではなく、
セットリストを超えて、これはもうアートでした。

それがこちら↓

このセットリストはまるで彼の一つの作品のようです。
こんなアートなセットリストは初めて見ました。
普通はただ曲順が殴り書きされているか、PCで打ち込んで印刷したものです。

額縁に入れてしばらく部屋に飾りました。

そして2012年、これまた名古屋の小さなライブハウスにツアーでベン・クーパーが来た時、ライブが終わった後のベン・クーパーに、前回もらったこのアートのセットリストが素敵すぎて部屋に飾っていると伝えると、とても喜んでくれて、傍らからノートを取り出し、今回はそこに書いてあったセットリストをベリベリと引きちぎり、それを私にくれたのです。神。

それがこちら↓

描かれている熊がベン・クーパー本人にそっくりです。
セットリストに絵を書き加えることのそれが、彼の世界はアートであり、その時その瞬間が全てが作品になっているのだなと思います。
生粋のアーティストさを感じました。

彼のアーティストとしての活動は、音楽から始まったのではなく、絵を描くことから始まったそうです。
そして次に書くことを始め、小説やショートストーリーを書いていましたが、PCに入れてた小説などのデータが全部飛んで消えて、そして三番目のアーティスト活動として音楽を始めたのだそうです。
そんなバックグラウンドがあるので彼のセットリストはアートだし、音楽からはストーリーを感じるのだなと思います。


最後は私の思い出話になってしまいましたが、
落ちて行く音楽と幸せと言う、私の根暗な趣味の話にお付き合い下さりありがとうございます。


誰でもみんな光を持っていて
その光が役割を得ると輝き始めます

その光が誰かの光となり
誰かの何かの役に立ち
輝きを増す
そして光は役目を終えると
薄れて消えて行き
そして暗闇の中でまた光りが生まれる

薄れて消えて行く幸せ

自分がそこに存在し
自分の役割を見た喜び

そしてそれは繰り返される

永遠に続くことが幸せではない

I was happy to fade


ここまで読んで下さりありがとうございました。

落ちてく三部作はここで一旦終わりとさせていただきます。


みなさんの落ちて行く先に幸せがありますように。




いいなと思ったら応援しよう!