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「エゴン・シーレ展」で想う

2月初旬。上野の東京都美術館で開催中の「エゴン・シーレ展」を観に行きました。東京でエゴン・シーレの大規模な展覧会が開催されるのは、じつに30年ぶりとのことです。

この展覧会に興味をもったきっかけのひとつは、勤務先であるトップスタジオHR発行のイランの絵本『ボクサー』の作者ハサン・ムーサヴィーさんが絵を描き始めたきっかけが、このエゴン・シーレだったからです。ムーサヴィーさんは、子どもの頃、家族のパーティーでいとこがエゴン・シーレの模写をするのを見て、自分も絵を描いてみようと思ったそうです。

ムーサヴィーさんのいとこが描いたエゴン・シーレの模写はどんなだったのだろうと思いを馳せるとともに、ムーサヴィーさんに影響を与えたエゴン・シーレという画家の絵を実際にじっくり見てみたくなったのでした。

本展覧会は、エゴン・シーレの作品だけでなく、同じ時代を生きた画家たちの作品も展示されているとのこと。その画家たちの中に、グスタフ・クリムトの名前がありました。私は以前から、クリムトの絵が大好きで、自宅のリビングには「接吻」のポスターを貼ったり、パソコンケースには「女の三世代」のバッジを付けたりしているようなクリムト・ファンでもありました。この展覧会は、そんなクリムトとシーレとの関係性も知ることができる構成になっていたので、興味深かったです。

エゴン・シーレの絵は、土気色っぽいような暗い色づかいが多く、モデルも変なポーズをとっているものが多い。暗くて寂しくて恐ろしいのに、視線が引き付けられたまま離せなくなってしまう。そんな魅力を感じました。

若くして亡くなったため10年ほどの画家人生だったそうですが、その中で約200枚もの自画像を残したそうです。それだけ自分を見つめ続けたとは、凄まじいものがあると感じました。

展示されている自画像のなかでも、クールな顔、ゆがんだ顔・体さまざまあり、自分自身と真に向き合う覚悟のような、鬼気迫る空気感が絵の内側から漂ってくるようでした。

本展覧会は、4月9日まで上野の東京都美術館で開催されています。春のお出かけにぜひ皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか。


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