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20世紀の先生の「上から目線」の是非を考える?英語絵本『Miss Nelson Is Missing』


ネルソン先生のクラスは学級崩壊中、ついに先生が消えた!代わりに来た先生は…

1977年に出版され、今なお人気で売れ続けている名作。見ようによって、20世紀末感あふれる本作。その部分は、ぜひ指導とディスカッションに滲ませたい。
どこが20世紀末感か。

小さいところでは、
・ 「Miss Nelson」と呼んでいるところ。今は「Ms」だろう。
・「Capital of China」が「Peking」とあったが、これは新版で「Beijing」に直っている。

大きいところで、特にわたしが心配になったのは、
・ネルソン先生が消えた後にきたヴィオラ・スワンプ先生の生徒への「指導」。今なら「パワハラ」になりそうだ。

アメリカの出版界は、伝統的にリベラル色が強い。PC(politically correct)には敏感だ。その土壌で今も版が続けられている、ということが、本書の現代的な読解のヒントになるだろう。


星ひとつで誇らしげなテキサス州旗

物語は学級崩壊したクラスの描写から始まる。そしてある日、 やさしいゆえに、クラスをまとめられない担任のネルソン先生が学校に来なくなる。

代わりにやって来たのが、強面のヴィオラ・スワンプ先生。
恐怖政治ならぬ、「恐怖授業」が始まる……。

この先生が登場させるという対応と生徒の変化、いいのか、悪いのか。
そしてその後にとった生徒の行動、そしてどう解決をつけたかについては、今の日本の子どもたちにとっても、大変身近なディスカッションテーマになるだろう。

英語絵本を「英語」のテキストだけとしてでなく、読解やディスカッションを深めて、本当のReadingレッスンとするのによい一冊。

典型的な日本の子どもなら、英語を始めて3年以上、かつ小学3、4年生以上に勧めたい。

指導のガイドなどは、いつか(有料で)アップする予定。


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