夏のブルックリンにて

夏のブルックリン。その日、夫と私は、別々にテキサスの砂漠の中の可愛らしい街で出会った女性と、ナッソー駅近くのとびきり愛想がよい店員ばかりがいるレストランで食事をした。夏も終わりかけの気持ちよい夜。テラス席に座り、ムール貝やトリュフソルトがかかったポテトを食べる。

その後、少し南へ、ウィリアムズバーグまで歩き、もう1人のアーティストの友人と合流する。ところで、レストランの数も種類も多いニューヨークで誰かと食事をすると、レストランはたいがいその人らしいチョイスになる。ビーガンのお友達だと、マクロビのレストランとか、おしゃれさんだと洒落たレストランとか、日本男児は日本定食屋とか、ねこ的なお友達が連れてってくれるところは、ひょいっと路地をくぐり、建物の奥の方の隠れ家的なところが多いとか。そんな感じ。

その日、何気なく入ったところは、ふたりにぴったりの、雰囲気のよい、薄暗い店内にろうそくの火が揺れるさりげなくおしゃれなバーだった。自然とアートの話になる。この数年いろんなアーティストと食事をする機会があり、そういう夜は幾度とあるが、その夜その場も幸せな空気に包まれていた。そこにいるみんなが、それぞれ違った形でアートのことをとても愛しているのだと感じた。

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