emisakitani

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緑のチェックの巻きスカート風キュロット

緑のチェックの巻きスカート風キュロットを実家の押し入れの奥に見つける。それは小学校4年だか5年生の時のピアノの発表会の時に祖母に買ってもらったキュロットだった。幼い私が手を引かれ、神戸三ノ宮のデパートに連れて行かれたのをかすかに思いだす。祖母は、当時ボーイッシュな私に、できるだけ女の子らしい格好で、かつ嫌がらない服として、緑の巻きスカート風キュロットという複雑なボトムスを買ってくれた。白のブラウスとセットで。恐らく高級な子供服ブランドで奮発してくれたのだ。幼い私は、買うことに

    • 夏のブルックリンにて

      夏のブルックリン。その日、夫と私は、別々にテキサスの砂漠の中の可愛らしい街で出会った女性と、ナッソー駅近くのとびきり愛想がよい店員ばかりがいるレストランで食事をした。夏も終わりかけの気持ちよい夜。テラス席に座り、ムール貝やトリュフソルトがかかったポテトを食べる。 その後、少し南へ、ウィリアムズバーグまで歩き、もう1人のアーティストの友人と合流する。ところで、レストランの数も種類も多いニューヨークで誰かと食事をすると、レストランはたいがいその人らしいチョイスになる。ビーガンの

      • 今までで最も強烈だったアート体験

        今までで最も強烈だったアートを観た体験は何かと聞かれたら、迷わずにMarfaのChinati Foundationへ訪れたことだと言うと思う。その時の体験を5年ほど経ってようやく少し自分なりに言葉にできそうな気がしたので、文章にしようと思う。 2007年の年末、大学3年の時、友人に誘われTexasのMarfaという(たしか)人口2千人ほどの砂漠の中の小さな街を訪れた。TexasのHustonから車を借りて、幾つかの街で休憩をとりながら、直線に延びる砂漠の道を8時間以上ドライ

        • 私にとっていいお店 ドラフト

          駅前のツタヤで「太陽はひとりぼっち」を100円で借りた後、いつもの赤い自転車にのって帰っていたら、見慣れない古本屋を見つける。窓枠がまるっこくてかわいい。お客はゼロ。こんなところに本屋なんてこないだまでなかったのに、と思う。「2階は自習室」という看板を入り口に見つける。「自習?え、なんの自習?だれの、、?」子猫は私の存在にはまだきづかない物量の少ない本屋だった。男の人が目一杯手を広げたくらいの奥行きのふたと底のないワイン箱みたいなのが積み上げられていてそこに本が、すかすかにな

          交換可能な

          自転車から降りて図書館に入る。少しブラウズしていると昔読んだ本をまた読みたくなったので借りる。それから図書館を出て、空をみると夕方の甘い色の空になった。また自転車に乗りながら、雲の色をじっと観察する。雲の上がピンクで下がブルー。薄い黄色も混じってる。三宮から東に向かう途中の商店街の八百屋でとめた。時間をかけてゆっくりと野菜を選んだ。たまねぎ、小松菜、しいたけ、にんじん、新男爵、菜の花、、やっぱり菜の花はやめて元に戻す。使い切れない。レジをすませ自転車を転がし、高架下を抜ける。

          交換可能な

          de nada

          その夕方、家をでて右を振り向くと自転車が消えていた。何か人生のうちで変化が起こるときは必ずそうだ。いろんなものがふいになくなる。今までも10代の頃から変化の前にはものがなくなるということが節目節目に起こってきた。だから経験値として大人になるにつれて物がなくなるということは悪いことというより、ささやかな良いことを知らせてくれているような気さえするのだ。だけど、もちろんショックではある。それは水の中にざばんと落ちて驚くが落ちながら事前に浮くことが分かっている感じ。浮くことが分かっ

          una carta de saturno

          昨日は土星とスピカの間を月が通るらしいと聞いたので空を見てみたけど、どれがスピカと土星だか分からなかった。数日で満月になろうと月はこうこうと輝いていたけれども。 ここ半年くらいプラネタリウムに地味にはまっていて、今日は「土星」をテーマにしたアロマプラネタリウムというのに行きました。香りはレモングラス、ペパーミント、シダーウッドを炊いて星空を見る大人向けのイベント。香りを人と共有するのは面白い試みだと思う。神戸のプラネタリウムは解説の人の声が録音じゃないのもなんだかあたたかみ

          una carta de saturno