音色 と 人

今日はこちらを一足お先に観てきました。
『パリに見出だされたピアニスト』。
映画の感想というより、
音と人について書きたい。

***

私は正直、クラシックに少し抵抗がある。
音大生がこんなこと言っちゃっていいの?

そう思われるかもしれません。

嫌いではないんです。決して。
好んでわざわざ聴こうとしないだけ。

でも、クラシックを聴いて、
本当に感動する時もあります。心から。

それは

音色

に感動したとき。

これはクラシックに限らず、どんな音楽にも
言えることかもしれません。目の前で誰かがふと何かを演奏してくれる時も。

音楽を演奏する上で、
・技術
・解釈
・作曲家の考えや時代背景
が必要。

これに関しては、色々な意見を持つ人もいるとは思うけれど、世間一般的に言われていることだと思います。(楽理科にいると特に楽曲分析だの、楽譜の歴史だのに注目すべき だと刷り込まれる。)

けれど、本当に必要なものは何か。
人の心に響くためには何が必要なのか。

それはやっぱり

だと私は思います。
クラシックに限らず、どんな音楽でも、
人の心は素直に音に表れる。

だから私は、
人が奏でる音楽を聴いて、音色に感動すると、途端に涙が出てくることがある。

それは、その奏者の性格を知っていればなおさら。

音楽を聴くことって

人間観察なのかもしれない

とも思った。
音を通して、その人の心を覗く感じ。

何を考えてるのかな。
心の中でどんな感情が沸いてるのかなって。

この映画を見て、改めてそうかもしれないと実感しました。

ピアノを弾くには、両手が財産。
けれど、一番大切なのは、あなたの気持ち。

こんなこともう一度教えてくれる映画です。

そして、もう一つ感じたこと。
それは、可能性を自分が信じることも大切だけれども、それを気づかせてあげる人、何があっても、

その人を信じてずっと見守ってくれる人。

そんな人の存在の大切さ です。

私もピアノをやってきたけれど、
何度やめたいと思ったかわからない。
何度も先生に電話して、「やめます」って涙を流した。

そんな泣き虫で諦めがちな私が、今もピアノを嫌いにならずに弾けているのは、あの時先生が見守ってくれたから。少しの可能性をずっと信じてくれてたから。

***

最近、真面目にピアノの前に座っていないな。

小さい頃弾いたあの曲も、
あれから少し大人になって、少なくともいろんな感情を抱き、いろんなことを経験した今の自分が弾いたらどんな“音色”になるだろうか。

音色と人の内面性って絶対に関係してる。

これからAIとかテクノロジーが発達するけれど、
人間らしさ、つまり本当に心から音を奏で、
そしてそれを聴いた人が、
その音、そしてその音を通して見れた人の心や感情に突き動かされたり、感動して涙を流したり、笑顔になったり。

そんなことはきっとヒトにしかできない。

***

ちょっと素直に自分を見つめて、
鍵盤の前に座ってみようかな。

そう思えた日。

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