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新しいダイニングテーブル

秋のはじまり、彼とダイニングテーブルを見に行った。

春。同棲を始めたころの部屋の中は、殺風景だった。ソファ代わりのヨギボーと、ローテーブルがひとつ。テレビ台がなくてテレビを床に置いていたから、視線を落とさなければいけなくて、ちょっと見づらい。お互いに持ち寄った家具はふたり暮らしには小さすぎるし、小さい冷蔵庫は食材でぱんぱんになることもよくあった。それでもふたりでつくる新しい生活は、私にとってささやかな喜びだったのだけど。

それから、インテリアショップやショールームに足を運んで、少しずつ家具を揃えていった。ソファ、テレビ台、冷蔵庫などの大きなものから、細々としたものまで。一つずつ揃うたびに嬉しかった。

ひとり暮らしの時は、なるべく安くて、使えればいいやと思ってた。でも今は違う。長く使うかもしれないから、ふたりが気に入って、ちょっと良いものを。ふたりで使うのに充分な大きさで、快適なものを。

ダイニングテーブルも、同棲当初から欲しいと思っていた家具。在宅で作業する時間が増えたので、今まではダイニングにアウトドアテーブルを出して使っていた。おうちキャンプみたいでそれはそれで楽しかったけど、やっぱり大きな、どっしりとしたテーブルを置きたい。ダイニングテーブルは憧れの家具だった。

ふたりでショールームに行き、どれにしようか考える。なんとなく、ダークブラウンの天板で、2本脚で、重厚感のあるもので……と思っていたけれど、色も形もばらばらで、どれも素敵で迷ってしまう。

最終的に、いいね!と意見が合致したのは、考えていたものとは違う、明るいベージュ色のテーブル。細くて丸みを帯びた脚がいくつか連なっていて、椅子の背も同じようにデザインされていて、とっても可愛い。ただお値段が高すぎて、そのテーブルは渋々諦めることに。そして違うお店で色も形もほとんど同じものを見つけ、即決した。

最初のよりは安いけれど、それでも結構なお値段で、買う前に少し怖くなった。

「まだ結婚もしてないのに、こんな大きな買い物していいのかな?」

一応彼にも確認すると「大丈夫だよ〜」といつも通り、のんきな返答。のんきだけれど、彼もわたしも「これから先、長く一緒に使っていきたいね」というのは、きっと同じ気持ち。こうして、責任という重みを感じながら、私たちは憧れのダイニングテーブルを購入した。


1ヶ月後、我が家にダイニングテーブルがやってきた。

想像以上に部屋の雰囲気になじんでいて、とても良い感じ。やっとダイニングらしくなった。

これからこのダイニングテーブルといっしょに、思い出も増えていくんだろうな。隣り合ったり、向かい合ったり、めいこ(犬)がちょこんと座っていたり。毎日ここでごはんを食べ、仕事をして、たまに真剣な話もするのかもしれない。

恋人以上家族未満の関係で、私たちは、家具といっしょに家族になる準備をしている。

最後まで読んでくださり、とても嬉しいです!ありがとうございます。