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212.冬至のすごしかた(後編) ~モデルさんごっこ・物語の森~

冬至2 (1)

写真を撮ってくださる愛さんとの待ち合わせは、北山門を入ってすぐの噴水の前だった。
なみえちゃんとベンチで待つことに。
ベンチがふたつ並んでいるだけで、ときめく。

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これまでに、愛さんが撮影された「モデルさんごっこ」のお写真をみていると、手のアップを撮っていらしたので、ケアしようと思っていたのに、つめもそのままだし、シワかくしのハンドクリームも忘れた。
そんなことを思っていたら、なみえちゃんが、かばんから取り出したハンドクリームを塗り始めた。

(私も!)

お願いして、私の手の甲にも、クリームを乗せてもらった。
なみえちゃんが、次にかばんから取り出したのは、ネイル用のオイル。
マニキュアみたいな瓶に入っていて、フタと一体になっている筆で、つめにチョンチョンとつけてくれた。それだけで、大切にされている気持ちになる。

人さし指から、爪のまわりのささくれたところに、ていねいにすりこんでいくと、しっとりして、艶が出る。ずっと前に習ったハンドマッサージを思い出して、指先をマッサージしてみた。
こんなふうに、自分の指先を愛でるなんて、ずいぶんごぶさただ。

(女子力の高い人といっしょにいると、ときめく)

楽しくて、リラックスしすぎて、これから、写真撮影をするということを、忘れそうになる。

愛さんがやってきた。大きな袋を肩にかけて、スタイリストさんみたいだ。
初めて会う人なのに、すぐにわかった。
挨拶をして、撮影場所へ。

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植物園は、かなり広い。
大きな木が、青い空へとまっすぐに伸びていて、歩いているだけで、テンションがあがる。

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撮影は、森のような場所で行われた。

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不思議なかたちの木がそびえていたり、木の実が落ちていたり、耳をすますと、声が聴こえそうな場所。

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声を、聴いてくれそうな場所。
どこまでも導かれるままに、歩いていきたいような。

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森は、創造の源。

自分がどんな顔をしているのかまったくわからないまま、言われるままに、目やからだを動かしてみる。
だけど、どのくらい上をみるのか、どのくらい斜め下をみるのか、どのくらいうつむくのか、どんなふうに見えているのか、見当がつかない。

(どうしたらいいですかーーーー)

というオーラを常に発しながら、笑ってみたり、遠くを見たり、さんかくずわりをしてみたり、木や葉に手を添えてみたり、髪をかきあげてみたり、言われるままに、ぎこちなく、よちよち歩きの時間が過ぎていく。

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今、ふりかえったら、もっと遊べばよかったんだって思うけど、ぜんぜん、そんな余裕はなかった。

自分がどんな顔をしているのかは、想像もつかないし、どんなふうに撮ってほしいのかも、決まっていない。

(なぜ、写真を撮っていただきたいと思ったのだろう?)

〇SNSの発信用に、自撮り以外の写真が欲しいと思ったこと。

〇LAS式ソウルコーチの紹介ページのプロフィール写真を準備していなかったので、来年の春までに、プロまたは、それに近い人に撮っていただくことを考えていたこと。

〇12月5日に、ポラリティセラピーを受けて、眉間のあたりと、右の眉の傷のあたりにあった、鬱屈したものが、すっきりして、からだも軽くなって、生まれる前のひよこみたいな、押し込められた窮屈さがなくなり、そういう自分を記録してもらおうと思ったこと。

〇知らない自分に出逢いたかったこと。

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内に向かうエネルギーと、外に向かうエネルギー。どちらも動きはじめている。
誰も来れない森にいるのではなく、「ここだよ」と、立て札を立てるような。

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冬至に、こんなに気持ちのいい場所で、さえぎるもののない空からの恩恵を浴び、大地に根差す。
植物の姿のままに。

***

写真を撮られていないときは、荷物の番をしている。
なみえちゃんと私のポーズは、ちがっている。
遠くから観ていても、声が聴こえるようだ。

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写真ができて、お互いに、相手の森の入り口に立つことを想うと、とても楽しみ。

ふいに、2015年の12月に、旅する絵描き 木の葉堂 白澤裕子さんと、ふたり展をしたときのDMを思い出した。

「物語の森」

立っているのは、森の入口
迷い込むように導かれて

ーーー出逢う

あなただけのrecord
光の糸で聴く
そこは、物語の森

物語の森

そうだった。だから、私は、森の前に立つと、ときめくのだ。
森には、大切なものが息づいている。

***

撮影が終わったのは、3時前。
お天気に恵まれ、強い風にかじかむこともなく、撮影のときは、コートなしでも大丈夫だった。
陽ざしが当たっているときは、まぶしくてぽかぽかだった。
ただし、雲が流れているので、変化が激しく、ちょうどいい光が届いたと思った瞬間に、曇ったりするので、愛さんは調整がたいへんだったと思う。

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(なみえ・えみな)

なみえちゃんと私は、来年、ユニットを組む予定なので、二人の写真も撮ってもらおうと話していたのに、すっかり忘れていた。
最後に、二人で並んで写真を撮っていただいた。

愛さんもいれて、三人の集合写真も。

布を買いに行くという愛さんと別れて、なみえちゃんと私は、お茶を飲める場所を探すことに。
太陽が雲に隠れると、急に冷えてくる。
陶板美術館にも魅かれたけれど、屋外だというので次の機会にし、うろうろしながら、クリスマスのオーナメントが華やかな、マールブランシェ本店の前に来た。
いくつも入り口があるので、立ち止まっていると、

「そこは、予約だけ」

という声がした。びっくりしていると、

「珈琲だけなら、左。ケーキを食べるなら、右」

(どうするの!?)

なみえちゃんと、ごにょごにょと、ささやきあう。

(ケーキも?)

ケーキを食べることに決定し、お店に向かいかけると……

「入れるかどうかわからへんで(イメージ変換では、こうなるのだが、京都なので、別の言葉だったと思う)」というような言葉で止められ、店の前を通りかかった若い男性の店員さんを、名前で(〇〇ちゃんというふうに)呼び止め、

「この子ら、ケーキ食べたいねんて。いける?(イメージ変換では、こう。たぶん、ちがう言い方)」
と聴くと、若い男性の店員さんが、店内に戻って確認に走った。

(このかた、何者?)

観光客ばかりの通りで、おばさんは普段着。
大阪だったら、商店街にいらっしゃるような感じ。
地元に長く住まれているかたなのだと思う。

店員さんが戻ってきて、席が用意できるという。
なみえちゃんと私は、風に運ばれるようにして、マールブランシェ本店サロンでお茶をすることに。
平日なのに満員で、ショーケースを埋め尽くされていたはずのケーキは、スペシャリテのモンブランと、定番のいちごショートの2種類だけになっていて、それも、すぐに売り切れそうな勢いだった。

奥のサロンの席が用意できるまで、「コンセルジュルームでお待ちいただけます」とのことで、いったん外に出て、先ほど、「そこは、予約だけ」と、おばさんに言われた扉を開ける。

中は、貴賓あふれる空間で、手前には、ショコラトリーの商品が並べられ、向かい側には待合いの椅子が並んでいる。奥は商談スペースになっていた。

あたたかくて、静かな場所。
サロンの席が空くまで待つ場所が、別に用意されているなんて、さすが本店というのは、格がちがうと思った。

受付で伝えていた、なみえちゃんの携帯に、席が用意できる旨の電話がかかってきて、サロンに向かう。
平日なのに、ショップは焼き菓子を買い求める人でいっぱいだ。

案内された席に座り、あらためて、なみえちゃんと向き合う。

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「冬至のお祝い会」だと、なみえちゃんが教えてくれた。
世界中で、太陽の復活、ポジティブエネルギーの復活を祝して、お祝いされているのだそうだ。

(これまでの自分との反転)

モデルさんごっこに応募することも。
会ったことのない人をお誘いすることも。
私にとっては、信じられないようなエネルギーの転換。

(小さなころの無邪気さ、無敵さ、無防備さに、戻っていくような)

話していると、なみえちゃんとは、接点がたくさんあった。
学んできたものや、出逢ってきた人たち。魅かれているもの。
もっと前に、どこかで会っていても、不思議じゃないほどに。

(太陽の復活)

岩戸が、少しずつ開いていく。

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外に出ると、思わず声をあげてしまうほどの、クリスマスイルミネーションが瞬いていた。

物語の森

迷い込むように導かれて
ーーー出逢う。

浜田えみな

写真ができあがるのは、来年1月中旬ごろ。
愛さん、なみえちゃん、ありがとうございます。

2015年12月 旅する絵描き 木の葉堂 白澤裕子さんの絵と、浜田えみなのコトバで、森の入り口をひらきました。
私のトモダチのティンが、そのことをブログに書いてくれました。
最終日の記事から、森のようすを、ごらんいただけます。
最初から読むと、物語の森ができるまでの、裕子さんと私の「てんけん隊」の日々を、楽しんでいただけます。



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