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318.ビューティフルミーティング
アナウンサー・ビジネス書作家・フォトグラファー べるさんの関西撮影会の写真を納品していただいた。
撮影の日の朝は、朝からシャワー。
いつもはタオルドライの髪を、年代物のくるくるドライヤーでブロー。
ふだんは、すっぴんで、何もしないのに、ビューラーでまつ毛をあげて、アイラインもちょっとだけひく。
パウダーとチークと口紅もつける。
父をデイサービスに送り出し、いつものカバンに、いつもとちがう服。いつもとちがう靴。
1本遅い電車で、1つ先の駅で降りる。
10分以内に着くはずの撮影場所に、30分近くかかって着く。しかも裏口。
ようやくホテル内に入ると、まるで、テーマパークのアトラクションのようなエレベーターホール。誰もいない。
息を整えて、ボタンを押す。ランプが灯る。
降りてきたエレベーターに乗り込む。
ロビーのある8階で扉が開くと、本のページをめくるように入っていく。
日常生活の中の非日常。
写真には、何が映るのだろう。
物語の醍醐味が余白だとしたら、写真は何。
シャッターとシャッターの間の刹那。
撮影会は、セッションだと感じた。
シャッター音が響くたびに、まとっているものがはがれていく。
言葉を交わさなくても、つながりあい、自然体でいられる。
(気持ちいいなあ……)
風。
ひかり。
空。
花。
石畳。
チャペル。
物語の登場人物が、一斉に消えてしまったパラレルワードにすべりこんだよう。時を止めたようなセットの中で、自由に動きまわり、鼓動を感じている。
(べるさんの情熱や、喜びや、技術や、集中力)
職人としてのオーラを間近に感じながら、被写体としてそばにいられる。
(なんて、贅沢な時間)
その発見にワクワクした。
恥ずかしいとかテレくさいとか、そういうことは全くなくて、静かに魂の交流を感じているような、おだやかな気持ち。
(余白を撮ってもらえたら……)
と、ささやかに願ったからかもしれない。
撮影の数日前に参加したワークショップで、自分の中の2極が、統合に向けて動き始めた兆しを感じられたから、そのタイミングで写真を撮っていただけることが嬉しくもあり。
自然体でいられて、リラックスできたことが、本当に不思議。
日常の中の非日常。
リトリート。
グラウンディング。
撮影が終わり、名残惜しくお別れしたあとは、羽織っていたアイボリーのシャツのボタンを一番上まで留め、オレンジのシャツは袋に入れて、地下鉄で一駅の職場に直行。
30分後には、席について、いつもどおり。
3時間の休暇のあいだ、何をしていたかなんて、誰にも聞かれずに。
撮影の時につけている、一粒でも、とてもエネルギッシュな輝きを放つネックレスは、正倉院玉と呼ばれるもので、ガラス作家の荒木美奈子さんに創っていただいた。ピアスもお揃いだ。
美奈子さんの正倉院玉の赤については、語りたいエピソードがあるので、後日あらためて。
今、くちびるにのせたい言葉は、
〈ビューティフルミーティング〉
絶賛統合中。
浜田えみな
べるさんの写真撮影のこと
形態学のワークショップのこと
ビューティフルミーティングのこと