67.第一弾 発送します ~ひかりとつばさ~
机の上には、いつもひめ神カードが置いてある。
何かをするときは、一枚引く。
『手のような雨』を発送するにあたっても。
「いったいなんでひめ神カードを引くの?」と思われるかもしれないけれど、〈自分という楽器を演奏する前に、ひめ神のエネルギーで調律するような感じ〉だ。
または、自分の中にいる12柱のひめ神のうち、〈誰をセンターにして歌うのかを意識する感じ〉。
そんなふうに思っている。
発送作業にあたって、センターに出てきたひめ神は「あまてらすおおみかみ」だった。
あまてらすおおみかみのエピソードを思い出してみるが、ピンとくるものが、すぐに浮かばない。
(あまてらす?)
(祈りをこめて、梱包すればいいのかな?)
そんなことを考えながら、作業を開始する。
ひめはいつでも、的確な答えを持っているからだ。
ところで、いったい今、何人のかたが、この企画に応募してくださっているのだろう。
投稿についたコメントをていねいに追って、名前を書きだしていく。
その後、やりとりをしたメッセンジャーを見て、住所をノートに転記する。
お申し出いただいたのに、まだ、住所をお聞きしていないかた。
交換品が決まっていないかた。
交換品を受け取る日が決まっていないかた。
コメントはいただいたけど、企画に参加するかどうかわからないかた。
……
リザーブストックで申込受付をやれば明瞭だったのだ、と実感する。
私の冊子を手にとってみたいと申し出てくださったかたに、メルマガ登録をしていただくことや、今後のイベントの案内を送れるような設定も、リザーブストックならできた。
〈やればよかったあれこれ〉が、次々に浮かぶけれど、今回は間に合わないので、次回のチャレンジとして、今回は、超~アナログ作業で、ノートに台帳を作った。
エクセルでやろうと思ったのだが、むしょうに、名前や住所を、文字で書きたくなったからだ。
交換品として申し出てくださったジャイアンリサイタルを、メッセンジャーを見ながら、転記する。
傾聴会。
ミニミニ風水講座。
……
***
体験したら、書くことができる。
そのひととの時間。
用意したテープ付のクリアーポケットに冊子を入れ、封入するキャプションに、名前を書く。
封筒に宛名を書いているとき、日本の都道府県地図を用意して、印をつけようと思った。
メッセンジャーでやりとりをしている時には、意識することのなかった、お住まいの土地。
〈風が吹いている〉
この部屋から、運ばれていく。
ひめ神カードのモニターセッションで、あまてらすおおみかみは、何度も登場した。
いつだって、そのかたにとっての、あまてらすおおみかみの姿をしていることに驚く。
たとえば……
観光業界で働く人が、あまてらすおおみかみのカードを引いたとき、その人は、しばらく考えていて、こう言った。
「観光って、ひかりという字が使われているんですよね」
そのときのことは忘れない。言われるまで、気がつかなかった。
「観光」とは、その土地を訪れ、その土地のすみずみに光をあてるように、見て、感じて、動いて、食べて、その土地のエネルギーを享受することなんだ、とわかった。
あまてらすおおみかみが照らす「光」が、観光の「光」にリンクしているのは、そのかただけだと思う。
ひめ神たちは、カードを引いてくださるかたたちの、パーソナルな存在なのだ。
日本各地の宛先を書きながら、このエピソードを思い出し、申し込んでくださったかたがお住まいのその土地に、灯りがともり、静かに照らされていくようが気がした。
あまてらすおおみかみのカードで象徴的なのは、鏡と翼だ。
「鳥羽市鳥羽……」という住所を書いていて、驚いた。
小さな翼がパタパタと羽ばたくような気がしたからだ。
こんな場所に住んで、こんな文字を見て、こんな住所を書いていたら、どこにでも飛んでいけそうだと思った。
メッセンジャーでやりとりしているだけではわからなかった土地のエネルギー。
中家かおりさんへの手紙を書いているとき、勝手に手が動いた。
かおりさんに翼を描いてもらいたいと。
かおりさんの背にある翼が、あまてらすおおみかみの翼だと感じたときから、お願いしたいと思っていた。
でも、時機があると感じていた。
風の時代の幕があき、きっと、今が、そうなのだ。
あまてらすおおみかみが、教えてくれた。
浜田えみな
このプロジェクトの経緯がまとめて読める記事はこちら