僕ら今はしゃぎすぎてる夏の子どもさ 胸と胸 からまる指 嘘だろ 誰か思い出すなんてさ あの頃何千回と聴いた懐かしい曲がラジオから流れてきた。 わたしは瓶底めがねをかけた垢抜けない中学生だった。 あの頃あんなに聴いた曲なのに、新鮮に聴こえた。 夢見がちでミーハーだったわたしは、今家族が食べた朝食の食器を片付けている。 淡々と過ごす日々。旦那は優しいし、子どもは愛しい。 ラジオを消してテレビをつける。 ニュースに見覚えのある顔。 胸がきゅっとした。 中学の頃
初めて観たのは13年前。松ケン大好きなわたしはどっぷりはまってDVDを購入して何回も観た。 だけど次の年に結婚して、すぐ娘を授かって、出産して子育てして…ってあっという間に10年経ってた。 下の息子も幼稚園に入って、お迎えの時間まで少し気持ちに余裕ができて1人で映画を観に行ったりした。 1人時間で初めて観に行ったのは『ホテルローヤル』やっぱり松ケンだ。 小説読んでないけど、松ケンが出てるっていう理由で選んでた。 人セクの時よりグッと大人の松ケンに時間の流れを感じた。
わたしには11歳の娘と6歳の息子がいます。 二人とも今自我芽生えまくりの絶賛反抗期中です。 まぁ~~~毎日髪の毛振り乱しまくりで怒鳴りちらしてます。 キラキラ育児なんてなんなんそれって感じで。 ネットで検索すると淡々と冷静に言い聞かせましょう、的な記事をよく見ますが、 上のお姉さんにはそれが出来ても、下の芽生えた自我の行方が不明でとっ散らかってる息子には効かない訳で… とにかくわたしも必死で言い聞かせようとしますが覚えたての『だから言ってる意味がわからない』の息子の言葉で堂々
わたしには年子と3歳違いの弟が二人います。 今日は3歳下の弟こと、おっちゃんのことを書きたいと思います。 おっちゃんは小さい頃はそれはそれは可愛くて、末っ子の本領を発揮してました。 全くもってわたしとすぐ下の弟の時には父性のかけらもなかった父が唯一一人で連れて歩くほどに可愛かったのです。 ちなみに父が父性を通り越え、母性が溢れでてしまったのは晩年ミニチュアダックスのプリンを引き取ってからです。 セカンドバッグを大事に持つかのように、常にプリンを抱えて移動していたのをよく憶え
25年前に振られた人がテレビに出て小難しい話をしていた。 顔が何より変わってないし声なんてそのままだった。 いや、顔はさすがに年相応にはなっていたけど、わたしが好きだった頃の間々田くんのままだった。 思わず身振り手振りを使って話す彼の左手を凝視していた。 『独身…かな』 指輪はしていなかった。 わたしは子供が二人いる身で一体何がしたいんだ… 罪悪感もあったけど、久しぶりに好きで好きで仕方なかった彼をテレビ越しに見れて高揚していた。 大人になった彼はテレビで経済
平日のほとんどをおかっぱとその母ちゃんは俺の所に遊びに来るようになった。 気がつくと俺の飼い主とはな達は顔見知りになっていた。俺の飼い主は一見気難しそうな顔をしたばあさんだが、子どもと猫が大好きな心優しいばあさんだ。 はなは怖いものしらずのおかっぱだし、母ちゃんも人見知りしないおばさんみたいだ。 雀荘の仕事がないときは俺たちと日向ぼっこをして過ごしている。 丁度いつもその時間にはな達は来るので話すようになった。 飼い主ははな達に俺たちのことを紹介したり、この辺りに住
はなはかつおぶしの袋を開けたくて、小さい手を一生懸命震わせていた。 顔が真っ赤だ。 まだこのおかっぱ娘には難しいみたいだ。 カラオケスナックの前にある半分腐りかけているベンチに座ってこっちを見ていたこいつの母親らしき奴が、その様子を見て 『はな、ママが開けようかー』と声を掛けたが、このおかっぱには聞こえていないようだ。 全然開きそうにないかつおぶしを見つめたまま、泣きそうだった。 見かねた母親が、ママに貸してみなと手を差し出すと、悔し涙を流しながら母親に手渡してい
わたしの一番好きな季節がやってきた。 桜が散って、肌寒い雨の日と夏のような暑い日が交互にやってきて、風が心地よい晴れの日が続く今の季節 夕飯の買い物帰りに感じた風に、そんなことを思った。 近所のみかんの木の葉がさわさわと揺れている音がたまらなかった。 自分が今こんなことに幸せを感じているのが不思議な気分だ。 半年前、子どもが流れてしまった。 二回目だった。 一回経験していたから、出血を確認したときに少しは覚悟が出来ていたつもりだった。 病院で先生に子供の心拍の
俺の名はたま。 本名は近藤たま三郎。年は多分1才位?だろう。 商店街の奥まった所にある飲み屋さんのビールケース置場で妹と弟と一緒にいるところを拾われた。 雀荘を経営する近藤さんに拾われた俺たちは、夜は雀荘で寝泊まりして、日中は自由に外を出歩いて過ごしている。 お母さんのことは何にも覚えていない。 俺たちを置いて、どこかにいってしまったのだろうか。 俺たちと似たキジシロをよく見かけるなぁ、と酔っぱらいのおっちゃんが喉元を触りながら言っていたのを聞いたけど、それがお母