決して平凡ではない、でも日常になっているようなひと時をお裾分けいただきました
言ってしまえば、とってもシンプルな進行と構成でした。
無駄の動作をすべて削り落としたような、素早く縄運び。
特に迷うのも、あえて間を伸びさせようなものもなく。着々と進み、吊りあげ、展開、降ろし、解き、至って簡単明快なものでした。
すべてを迷いなくとても簡単そうにこなしている時点で充分すごいですが、それだけではない。
ステージでのパフォーマンス故に、どうしてもすべてを行うのが難しくなるような基本な動き。一縄二縄のテンションのお揃い、腕にかけている位置の微調整、後手完成後の受け手への確認、丁寧すぎると思ってしまうぐらい行われ、そしてまさか早めの手首縛りの解きまで。すべてがテンポよく進行されているなかで自然と行われ、細やかなことばかりでしたが、見ていてとっても安心感が伝わってきました。
そういえば、演者のお二人は、長い年月をともに過ごしてきた夫婦でした。でもその絆を、あえて何かしらのスキンシップで表現しようとされていない。あるのは、所々のふとした瞬間に散らばられていたちょっとした仕草。
始まる前におでこを合わせるお二人、ウキウキしながら新品の手ぬぐいを広げる武さん、常に黙々視線で武さんを追っていくまいさん、あとその逆さ吊りのまま両手を握り合うシーンも、すべてが微笑ましい。
故に、途中の意地悪い2枚目の手ぬぐいも、急に髪の毛を引っ張る動きも、終了後にお話をお伺いしてはじめてわかった噛みによる悲鳴も、ショーの流れにおいての観客に見せるためのスパイスというより、お二人の日々のひとコマを見せられたような感覚でした。
このショーをどう解釈すべきか、どのように定義づけすればいいのか、すごくすごく悩みましたが、多分、これこそは、お二人の日常の一部の切り取り、そのものだったかもしれませんでした。
改めて、臨場感溢れつつも安定感抜群のパフォーマンスに感心しました。ありがとうございました。
今回扱っているショーの情報はこちらhttps://twitter.com/ahetaro/status/1753603125263663507?t=vilHsUdxgE9BKjcpQ3JBOQ&s=19
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?