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ワインって何がいいの?

ワインが私にとってこんなにも特別な飲み物になったのはいつからだろう。
レストランに行っても、バーに行っても、家で両親と一緒に飲むにしても必ずワインを飲む。

大学一年生の時には本当にワインにどハマりしたもんだったから、「ワイン一年生」という本まで買って、ワインの歴史から産地、ブドウの品種、産地まで全て頭に叩き込もうとしたことがあった。
最近は家の近くのワインショップで試飲をして、たまに気に入ったものがあると買うのが趣味だ。

3歳

私の人生の中にワインが現れたのは、3-4歳ごろの時だった。
デザイナーの祖父はヨーロッパをこよなく愛し、週末には小さな私を色んなレストランに連れて行ってくれた。
今はもうないが、昔銀座にエノテカピンキオーリのイタリアンがあって、毎週末デパートでお買い物をしてはエノテカでランチをするのが日課だった。
あのお店は、受付を通り過ぎると大きなワインセラーのトンネルを潜ってメインのホールに辿り着ける作りになっているのだが、その巨大なワインセラーがまるで魔法にかけられているようだった。
艶々と光る無数のワインボトルが頭上までずらっと並び、その権威性と美しさに私はうっとりしていた。

エノテカのワインセラートンネル

5歳

5歳ぐらいになった時、私の父が家に大きなワインセラーを買った。
大好きなエノテカよりかは小さいけれども、自分の家にワインセラーがあるのが嬉しかった。
勿論当時、私は子どもなのでワインがお酒なのかなんなのかも知らなかった。
ただただ、重そうで美しい、かっこいい大人の象徴としてワインをこよなく愛した。

14歳

14歳になった時、私はロシアに渡航した。
母の親戚や友人たちの家を訪問しては、社交パーティーを開催し、楽しい時間を過ごしたのだがその社交パーティーで私は初めてワインの味を知ったのであった。

普通の中学生としてオレンジジュースを飲もうと母の友人にグラスを渡したら、渡されたのはグラスいっぱいに入れられたワインだった。
「この子ワインは飲んだことないの」
と言った私の母に向かって
「え?!ワイン飲んだことないの?」
と飛び交う友人たちの反応。
多くの日本人読者は驚くかもしれないが、ロシアでは平気で14歳から家でワインを飲む。(勿論ロシア国内では違法だけど)
ワインが14歳の口に合うわけがなく「ワインは渋くてまずい」というのが感想だったが、少しでもかっこいい大人に近づけたかもしれないという高揚感をワインは私に与えてくれた。

その後

私は日本とロシアのハーフなのだが、一緒に育ってきた大親友と言える子はロシア人だった。
だから、私の青年期はその子との思い出で溢れかえっているがその多くはワインにまつわるものだった。
17歳。二人でお泊まり会をした時、こっそり父のワインを飲んでしまったこと。
18歳、ロシア人の友達4人でワインを6本飲み干し、公園で野宿していたこと。
思い返せば、おかしいけど楽しかった思い出は全てワインに関わっている。

今はもう、昔みたいにワインを一人でがぶ飲みできる体力はなくなってしまったけれども、ワインを少しずつ味わって飲める大人には近づいている気がする。
ワインのように年をとっていき、ワインに囲まれた人生をこれからも過ごしていきたい。


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