余は如何にしてついたての虜となりし乎(1)~過去の自分に捧げる12のアドバイス~
はじめに
はじめまして。
wanageeeeと申します。
輪投げ師として活動する傍ら、ついたて将棋に励んでおります。
ついたて将棋歴は3年、棋力は四段です。
始めたての頃を振り返ると、わけもわからず闇雲に駒を動かしていた私。
「ついたて将棋 コツ」とググってみたり、YouTubeでついたて将棋の動画を探してみたり。そんなこんなで色々なセオリーがあることを知っていきました。
とはいえ、肝心要の理解力乏しく、内容が、てんでわからなかったのも事実(残念!!)。
そこで、何がわかって何がわからないのか、何ができて何ができないのか、成長過程を書き留めておこうと思い立ちました。
月日は流れ、ついたて将棋の虜となったいま、その記録を振り返ることにします。
前置きが長くなりましたが、今回は傍題として、各レート帯の過去の自分に今ならどんなアドバイスを送るか、という観点から、ついたて将棋の上達法を敷衍したいと思います。
とはいえ私自身まだまだ弱輩者ゆえ、こんな認識もあるんだな~、程度にご笑覧いただければと思います。
※なおこの記事の内容は、将棋のルールと、ある程度の将棋用語(戦法名等)の理解を前提としています。また、記載しているレートはあくまでも目安です。
灰レート(~R1299)→緑レート(R1300~1499)になるまで
当時の記録(抜粋)
当時の自分にアドバイスを送るなら、こんな感じでしょうか。
①ルールに慣れよう!
対局ルールはもちろんのこと、
(1)王手がかかったとき
(2)駒を取ったとき
(3)駒を取られたとき
(4)反則をしたとき
に表示が出る、という仕様に慣れるのが第一歩です。
王手がかかっているのに気づかず反則を消費した経験は数知れず…
②とにかく攻めよう!
戦法は自分のお気に入りを指すのが一番です。居飛車速攻、中飛車、石田流が、始めたての方に根強い人気のある戦法です。
私は中飛車と居飛車速攻を使っていました。
③駒を取ったら放置しない!
駒を取ったら、すぐその駒を別の場所に動かす。つまり放置駒を作らないことを徹底すると良いと思います。
④難しく考えすぎない!
たくさんの情報を処理するのは、もう少しレートが上がってからで大丈夫!大雑把でいいんだよ!と始めたての自分に伝えてあげたいです。
まとめると、
①ルールに慣れる
②居飛車速攻を使う
③放置駒を作らない
④難しく考えすぎない
の4つができるようになった頃、緑レートになっていました。
緑レート(R1300~1499)→青レート前半(R1500~1600くらい)になるまで
当時の記録(抜粋)
やんちゃな記述が目立ちます。攻めっ気が強かったからでしょうか。
今の自分ならこうアドバイスします。
①いろんな形を指してみよう!
序盤に、居玉をやめて金銀を動かすと、文字通り違った景色が広がるでしょう。
②攻めのストックを増やそう!
緑レート帯では、端玉を好む人が増えます。索敵(相手玉を探すこと)が遅くなりがちな地点であるためではないかと思われます。
例えば、94玉に対して右辺から「と金」を寄せる形で兵糧攻めを試みると、かなりの時間を要します。そこで、取った金銀を打つことで索敵効率を上げることが大事になってきます。
こういった、索敵効率を上げるのに役立つ、ついたて将棋特有の手筋がいくつかあります。
例えば、
・桂馬を取ったら▲94桂~▲82桂成で飛車を取る
・▲14桂~▲22桂成で角を取る
・香車を取ったら▲62香~▲61香成(▲42香~▲41香成)で金を取る
・金を取ったら▲92金~▲82金で飛車を取る
・▲85金/銀、▲25金/銀と打って端玉チェックをする
・相手が居飛車速攻してきたら、飛車の頭に歩を叩く(例:△87歩成に▲83歩)
といった感じ。
これらの手筋を駆使することで、勝ちパターンの礎を築くことができます。
③"暗殺"してみよう!
サスペンスよろしく、不穏な見出しですね…
ついたて将棋用語の暗殺とは、
いろいろな形がありますが、とくに相手が居玉の状態を暗殺する形を知っておくと、勝ち星を稼げると思います。
ランキング上位には居飛車速攻からの暗殺を多用している方もいるので、参考になると思います。
(本項目は②に包含される内容ではありますが、その重要度にかんがみ、別項目にまとめました)
④この頃の棋譜をとっておこう!
この頃から、棋譜を保管しておくことを強くおすすめします!
上達したときに昔の棋譜を見ると、成長を実感できるからです。
ひるがえって、当時の自分から学べることもあります。「上手は下手の手本、下手は上手の手本」という諺がありますが、レートが上がってから昔の棋譜を見ると、意外と指せているなあと思うことも少なくありません。
同時に、成長してできなくなることもあるんだな、と感じることもしばしば。
※棋譜の保存について
私は、棋譜をついたて将棋Viewerというサイトで出力し、リンクを保存しています。
ついたて将棋Viewerは、棋譜をついたて付きで振り返ることができるほか、相手の反則内容もわかる、素晴らしいサイトです。
また、上位プレイヤーの書いたコラムもあり、その深い思想の中身を知ることができます。
まとめると、緑レート時代の自分へのアドバイスは、
①いろんな形を指す
②攻めのストックを増やす
③暗殺してみる(文字にするとこわい)
④棋譜を保管する
の4点です。青レートになる頃には、これらのことができるようになっていました。
青レート後半(R1600くらい)→初段(R1700)になるまで
当時の記録(抜粋)
先述したついたて将棋Viewerにあるコラムを読みすぎて迷走していた時期です。
WBC後に村上選手が、
と述懐しています。
示唆的な言葉です。
すなわち、あれこれ手を出してもうまくいかない。
では、どうすればよかったのか。
今の自分なら以下の4つに絞ってアドバイスすると思います。
①駒がぶつかったら時間を使って手数を計算しよう!
対局開始後、初めて駒を取ったとき、取られた時にいったん考えて手数を数えるのをおすすめします。
例えば自分が先手番のときに8手目で△87歩成とされたとします。
このとき、
2手目:△84歩
4手目:△85歩
6手目:△86歩
8手目:△87歩成
の4手分が確定情報としてわかります。そして、不明手は0手であることもわかります。後手は8筋の歩以外は初期配置であることも導けます。
以上は簡単な例ですが、この作業を怠らずに指すと、把握できる情報が自ずと増えます。
確定手から相手の形を読むのはついたて将棋の醍醐味の1つですが、私は初段になるころに、ようやくきちんとできるようになりました。
②王手をかけた後にしっかり時間を使おう!
この頃には、すっかり早指しプレイヤーになっていた私。王手をかけた後にテキトーに追いかけ回して見失うことがたくさんありました(今もです)。
王手をかけたら1回時間をおく。そして、考えられる玉位置を検討する。
これだけでも勝率はかなり変わると思います。
③王手をかけられたらちゃんと対応しよう!
「攻め100%」からの脱皮を目指します。王手をかけられたらしっかり受ける。
対応は、
(1)玉を逃がす
(2)駒を埋める
の2つに大別されます。どちらが勝るかは、状況や棋風によって変わってきます。
いずれにせよ、王手された後の受けは大事だと思います。
王手後の対応を放置して良いケースは、
(Ⅰ)最序盤の限定されたケース
(Ⅱ)最終盤の1手争い
(Ⅲ)勝ち目がほぼないときのお祈りタイム
くらいという認識です。
④攻めのストックを増やそう!(2回目)
このレート帯になると、直接打が通用しにくい場面が増えます。直接打とは、具体的には、先述した手筋や、54桂打などの攻めです。暗殺も決まることは減ってきます。
そこで、攻めのストックを増やすことを考えます。これが、青レート時代の私に不足していた視点だと思います。
例えば「2択攻撃」を迫るなどの歩を伸ばす攻めです。直接打よりは遅い攻めですが、攻めが切れることが少なくなります。
また、「楽に勝とう」とする意識が薄れる、という精神的効用もあります(※個人差あり)。
抽象的な話になりますが、あくまで私の認識では、ついたて将棋には「いかに情報を与えずに相手の情報を得るか」という読みの要素と「いかに効果的な攻め/受けをするか」という出力の要素があり、前者についての具体的内容が①と②(③も少しあるかな)、後者についてが③と④という感じです。
まとめると、
①駒がぶつかった時に手数を計算する
②王手をかけた後に時間を使う
③王手をかけられた後にきちんと対応
④攻めのストックを増やす
以上の4点ができた時、初段になることができていました。
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今回はここまで。続きは次回となります。
ご高覧感謝します。
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