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タンパク質を摂ると撮る3

引き続きまして、 Part3

前回は、私の作品としての写真撮影は感覚的な好みだけでなく、テーマを推考し意味をもっと持たせて届くものにしようと思ったのだ!というところまで書いた。5回完結予定の3回目、その続き。

「テーマ」は社会的な課題であり且つ私が興味あるもの、問題提起が出来る事を取り扱いたいと決めた。

私という人間はそもそも好奇心が強く、仕事での撮影でも出来る限り興味を持って撮りたいので、依頼が来たら調べたり、下見に行ったり、人に聞いたりする。しかし今回は私の作品なのだから、クライアントは居らず、自分本位でいいんだと思うととても嬉しくなる。特にここ2年ほどは仕事でもその『嬉しい』という気持ちが増えた。ある障害者福祉の雑誌撮影を承っていて、そこではいろんな作業所や障害者の方のお宅、 NPOに伺ったりする。その雑誌の編集の方の調査や目利き、編集長の方針や雰囲気など色々と要因はあると思うのだが、本当に素晴らしい人たちに出会えて、現状を見せてもらえて、それはそれは勉強になることばかりなのだ。 NPOには光と闇があるらしいのだが、私にはいつもそのお仕事が光り輝いている。撮影は苦しいのを乗り越えて撮る時もあるのだか、これを表に出せる雑誌の写真を任せてもらえたことへの充実感が半端ない。そして仕上がりを見るとさらに湧き上がる力をもらえる。なぜなら私の自由に撮らせてもらえて、名前のキャプションも入れてもらえて、特集をそのまま任せてもらえて、知らない世界を見せてもらえて、それはとても深いもので、考えることがたくさんあり、素晴らしい方々の心に触れる、やり甲斐を物凄く感じられるのだった。撮影内容は人、表情、事象が多いが私の気持ちをのせて撮っていいよ、というお仕事なのだ。そんな心が震える仕事に声をかけていただく機会が増えつつあるのだ。そんな経験は他にも、アレルギー対応のお菓子を開発された方のリーフレット撮影や、食養生の料理研究家さんの撮影など続けてお受けしているものもあって、私自身の価値観とぴったり!という撮影ではいつも以上にいいのが撮れてその後も心がスッキリ爽やかコカコーラ的なのだ。これまではどんな写真撮影も「大好き」と思って、とことん取り組んできた。10年経って私の価値観が固まってきたのだろう。もっと、私という人間の目線を知ってもらって、お仕事ができたらどんなにいいだろう...と。次の10年への欲が出てきてしまったのだ。

そういうこともあって、私はまず、それを示せる作品を世に出す必要があると思った次第。食に関する社会課題というのは、世界人口が50年後には100億人に迫ると言われてそれに伴うタンパク源の不足。ここでやっとタンパク質に話に繋がるのだが、ここを掘り下げたい。私が中学生の時、このことを既に教えてくれた先生がいた。とても変わった塾に行っていたのだが、その先生が「肥大化させた家畜を作り出す研究はもう京大で始まっている、なぜならタンパク源がこの先足りなくなる世界になるのは明白だからだ!」という主旨のことを言っていた。やたら京大の研究内容の話をする先生で、いつもインパクトある発言をされたが、中でもこのことは強く頭に残っていた。今、環境負荷が少なくサステナブルで環境にやさしいタンパク源、昆虫が注目されている。本当に私たちは昆虫を食べていくのだろうか?これを考えることだ、とピッカリ豆電球が頭に灯ったのは去年の7月のこと。そこへ持ってきて、ここ最近の SDGsな話題でもあり、人間が摂取しているお肉。家畜は、多くのエサ、そして水を必要とし放牧による草原や森林の衰退の問題、そして牛などのはんすう動物は「げっぷ」を多くするので、これに含まれるメタンが、地球の温暖化を促進する???家畜が出すメタンガスの問題。『牛のゲップ』って撮影できるもんだろうか?と考え出したのはその後から。タンパク質について知らないと!と思って本を買ったのは2年前くらい。実はずっと「タンパク質」のキーワードは頭にひっかかってたのだ。

今、次世代のために生産エネルギーが超効率的と言われる注目の昆虫食と、対極にあるとされる牛肉。纏めて作品に出来るだろうかと思考する日々が始まる。しかし、なにはともあれ撮影してみないことには!と思い。牛と虫を撮影することにした。やってみてわかることがあるから。まずはどこに行ったら牛を撮らせてもらえるものだろうか?虫は何を撮ろうか?やっぱりコオロギ?何だろうか?頭をグルグル...と続く。

4回目は牛の撮影について書くことにする、明日。

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