『ベイビー・ブローカー』(2022)#22-1
私 ★★☆☆☆
多分一般 ★★★☆☆
先月の7月に、大好きな大学の先輩と是枝監督の『ベイビー・ブローカー』を観てきました。ハリウッド映画のようなブラックバスター映画ではなく、さざ波のような穏やかな映画でした。
日常をフレームに写すことで何かを語るという手法の作品だった気がします。ただ、伝えようとすることは普遍的なものかも知れませんが、内容的には納得のいかない部分も多かった気がします。
とは言え、監督は日本人だけれど、舞台と俳優は韓国という東アジアでは結構異色の組み合わせの映画だった気がします。驚いたことは、ジャンル的に見たら確かに日本映画だけれど、映画のセリフやシークエンスなどは韓国の情緒が溢れているということでした。ローカライズが上手いというか、脚本をアシスタントした人たちがすごいなと思いましたね。
どこか寂しい人たちが、一生懸命人を信じ前に向かおうとする作品だと思いました。しかしながら、生きるために売春をした少女が子を身ごもり、子供の医学的父親を殺すことになったというプロットは、あまりにも陳腐に感じられますし、産むか産まないか、産むなら責任を持て、といった(ぺ・ドゥナが演じる)刑事の劇中のセリフなどは少し時代の遅れた発言のように感じられました。
とはいえ、ちょっとしたギャグシーンがあったり、劇中のストーリーの語られ方とは別に、普遍的な愛を伝えるメッセージは、荒れた今の時代、人によってはヒーリング映画として楽しめる作品なのではないかと思います。