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雨の日と髪の毛とわたし
こんにちは、きよはらえみこです。
空気の中に含まれた水分で、心も体もぶわっと膨張していくようです。ああ、梅雨が来るなあと感じます。
わたしの髪の毛は猫っ毛で、湿度の高い日は水を吸って広がりやすくなります。
しかも癖があって、水に反応すると一層それが強くなるので、なんというか晴れて乾燥した日とは別人のようになるのです。
くるくると縮れた髪の毛に「湿度計になるから」とうそぶきつつ、10代前後の頃はそれなりに気にしたことを思い出します。
縮毛矯正をかけたのは高校生の頃。
すとんと頬に落ちる素直な髪が自分のものではないようで、少なからず感動しました。
朝はね上がった髪の毛と格闘する必要もなく、さっととかしてすぐ家を出られるって、なんていいんだろう。
生まれつき日本人形みたいな髪の毛の人は、ずっとこんなに軽快だったのだな。
自分の見た目を少しでもよくしたり、扱いやすくしたりということの楽しさは、この時初めて知ったかもしれません。
大学に入ってその傾向がより強くなったかというとその逆で、なりふり構わぬつなぎ姿で講内をふらつく地味な美大生となったわたしは、他大学の友人の眩しさに目を細めながらぼーっとした日々を送っていました。
当時の縮毛矯正は値段も高ければ施術時間も長く、ほぼ半日がかりみたいな美容院通いが面倒になったのでした。
いつのまにか縮毛矯正はかけなくなり、湿度で時々暴れ出す髪の毛を気にならぬように切ってもらいながら、現在に至ります。
年月を経て、憧れだった日本人形スタイルの髪の毛の人にはそれはそれで悩みがあるらしく、髪が多い、少ない、太っている、やせている、背が高い、低い、胸が大きい、小さい、ありとあらゆる外見に関する劣等感を、誰もが持っているのだとしみじみわかってきました。
そして自分の容姿に対する葛藤は、思春期の頃よりは薄れてきて、大変満足とは言えなくても一応和解できるようになってきたのだと思います。
今後さらに変化していくであろう自分の体を、どのように受け入れて付き合っていけるだろうか。
怖くもあり悲しくもあり、しかし本当に楽しみでもあるのです。
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