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クリスマスリースをつくった話
いつもは動かさない筋肉をぐいと伸ばすように、思い切って新しいことを体験してみるのは心地よいものです。
ある休日の午後、わたしは西の方へ向かっていました。
山が近づくにつれて視界いっぱいに紅葉が広がり、気持ちの良い秋晴れでした。
目的はクリスマスリース作りのワークショップに参加するためです。
リースなんて今まで買ったことはなく、おとなになってクリスマスらしいことにも無頓着だったわたしが、なんでワークショップなんか参加しようと思ったのか。
はっきりした理由は自分でもよくわかりません。
ただ講師の方の作品をあるとき他の場所でお見かけし、なまの植物の存在感というか、けはいみたいなものに心惹かれて、普段と違うものづくりをしてみるのもおもしろそう、とぼんやり思ったのでした。
細い道を抜けた先に佇む古民家カフェは、以前にも訪れたことがありました。
ハイキングや自転車乗りの方に人気があり、目立たない場所にあるにも関わらずすでに店内は満員。
わたしはワークショップの予約だったので、奥の小部屋に通していただきました。
窓の外には山が間近に迫り、光線が穏やかでした。
参加者はわたしを含めて4人。
講師の「とく」さんは優しい雰囲気の方で、必要な花材や道具を手際よく扱いながらリース作りの説明をしてくださいました。
リース作りはおおまかに、枝葉や、木の実などの長さを切り揃える工程。
それらをリースの土台(今回はあらかじめ用意してもらいました)に針金を使ってくくりつけていく工程に分けられます。
ノラ・ジョーンズの音楽とともに作業がスタート。
ストーブの燃える部屋でもくもく、ハサミを動かします。
先生のアドバイスを受けながら積み上げていく、植物の山々。
針葉樹のスッとした香りが心地よく、あっという間に時間が過ぎていきました。
カフェのハーブティーで一息ついて、後半戦はいよいよリース本体に花材を結びつけていく作業です。
これが、とても難しかった。
異なる花材を全体のバランスを見ながら配置していき、ペタンと平面的にならないよう、半立体のレリーフになるよう気を配らなければなりません。
左手で花材を土台に固定、右手で針金をしっかりと巻き付けて円周をたどるわけですが、花材の向きや量によって部分的にスカスカになってしまい、そうなったら針金を解いてやり直しです。
松脂で手先はベトベトになるわ、整理したはずの花材は机の上に散らばっていくわで思うように進みません。
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悪戦苦闘しつつも先生のアシストのおかげでどうにか組み立て、ようやくコツをつかんだのは残り1/4周のあたりでした。ああ、中学のときのスキー教室を思い出す。全然滑れなくて、怖い思いをしながら徐々に慣れていって、楽しくなってきた頃にはもう帰る時間。完成したリースにはその成長過程がはっきり刻まれており、素人っぽい味わいにはなったような。。
他の参加者の方の作品と並べてみると、同じ花材を使ってもそれぞれ異なる作品が出来上がるのが面白く、また草花の扱いに慣れている方の手際の良さなどはとても勉強になりました。
日頃凝り固まった頭を、自分でぽかすかやってみたところでなかなかほぐれないものです。
素直な気持ちで飛び込めるのはやはり全然違うジャンルのこと。
かわいい山のカフェで、植物を相手に没頭できる時間はとてもぜいたくなものでした。
学生時代のように先生に教えを乞うのも楽しかったなあ。
自分の誕生日が近かったこともあり、ごほうびのような時間でした。
できあがったリースは持ち帰り、飾った部屋の中でもしばらく良い香りを放っていました。
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![](https://assets.st-note.com/img/1703262454215-ccbdEv6pW2.jpg?width=1200)
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