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UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川を終えて② 感謝や組み立て方など

芸術祭のふりかえりその2。発行している地域情報誌cocoganeに掲載した「マチのミカタ」コラムを転載。

前回の振り返りはこちら

UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川

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 4回目となるUNMANNED無人駅の芸術祭/大井川が3月末に閉幕しました。ご来場くださった皆様ありがとうございました。

 UNMANNED無人駅の芸術祭は大井川鉄道無人駅を舞台とした芸術祭。「無人駅がひらくと地域がひらく」をキーコンセプトに、「ほりおこす」「あらわす」「ともにひらく」の3つのフェーズで芸術祭を組み立てています。ほりおこすは、アーティストとともに行うエリアリサーチのこと。これにより、「この地を表し、ここでしか見ることのできない唯一無二の作品」が生まれていきます。アーティストの琴線に触れる素材は実に様々。大井川の伝説、夜の闇、茶畑といったものから、無人駅エリアに暮らす人々やエリアに点在する公と私(わたくし)の境界まで、思いもよらない素材が作品として表現されていきます。


 当芸術祭で忘れてはならないのが「集落の妖精たち」。無人駅エリアの60~80代の“男衆”のみなさんが制作の手伝いをしてくれています。美術館のない当該エリアにおいて、アートに触れる機会はほとんどない人たち。彼らのことをいつの頃からかアーティスト達が驚きと親しみを込めて「妖精たち」と呼ぶようになりました。明るくて、真面目で、常にダジャレを言い合っていて、お酒が好きなのが特徴です。


 「アートなんてよくわからないし関係ない」と切り捨ててしまうことも簡単だと思いますが、芸術祭以前に「来てくれてうれしい」という気持ちで関わってくれることに感謝しています。毎回制作の手伝いをしたり滞在中に一緒にお酒を飲む中で、信頼関係を築いていくオープンマインドな妖精たちにいつも驚かされます。情報があふれている中、真っすぐに人を信じる強さを持ち続けるのは難しい時代に、何と豊かな人達なのだろうと思います。


 他にも日限地蔵尊とスーパーながいのみなさま、久野脇地区のみなさま、駿遠学園の生徒さんをはじめ、多くの方にご協力いただきました。みなさんのおかげで作品の先で地域の人の温かさに触れられる生きた芸術祭となりました。


 今の時代は「VUCAの時代」と言われています。「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」の4つの頭文字をとった造語。時代が進めば進むほど、世界は複雑になり曖昧になっていきます。正解を目指すのではなく、正解を自分で作っていく力がなければ生きづらい時代とも言えます。これまでは「正解」という1つの頂点を目指す三角形の社会でしたが、それぞれが自分だけの正解を作り認め合う社会になれば、その形は優しい円になっていきます。アートは見方も感じ方も自由、答えはありません。アートや妖精たちの生き方にはこれからの時代をよりよく生きていくヒントがたくさん隠れています。それが、私たちが無人駅の芸術祭を行う原動力。次回の開催も楽しみにお待ちいただけましたらうれしく思います。

(クロスメディアしまだ兒玉絵美)

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小学校の帰宅時間になると近所の子どもたちが毎日のようにインフォメーションセンターによってくれた。サポーターともすっかり仲良しに。

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インフォメーションセンター2階の小鷹拓郎作品も、「じいじが出てるんだよ」と毎日のように見てくれた。

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村上慧氏の制作のお手伝いに来てくれた内田さんは私の娘とすっかり意気投合してくれた。

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妖精たちが、すぐ隣の茶畑でとれた緑茶をふるまってくれている様子。

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インフォメーションセンターをばっちり回してくれたサポーター(あんまん部)。サポーターとの信頼関係があるから我々は現場を回れるありがたさ。

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「歪んだ椅子/相関差模型」は、ミッションをこなすことで、人の痕跡や想いが集落に降り積もる作品。妖精の1人である「たいちゃん」のミッションはかかしの悩みを聞くというものだったそうだが、天国に早く旅立っていった友人に、そっちはどうだ?とかかしに聞いてもらっていたんだそう。

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ナカムラマサシ/OPPAI:RERATION(融和)。作品設置場所すぐにある駿遠学園の生徒さんが制作協力をしてくれ、会期が進めば進むほど、一面に「あかいささふね」が設置され幻想的な風景になっていった。

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