地域コレクティブARTDROPS第1回「寄り合い」
地域コレクティブART DROPSの第1回寄り合いを先日行った。これまでUNMANNED無人駅の芸術祭/大井川の参加アーティスト、無人駅集落(抜里地区の妖精たち(70代のおじさん))ら20名以上が参加した。
「地域コレクティブART DROPS」とは、UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川を開催していく中、芸術祭を「ハレの日」と捉えるならば、その効果と熱量を、地域の日常である「ケの日」にもっと染み出させていくことはできないのか。と思ったことがきっかけ。「関係人口」という言葉が地域づくりでは様々に聞こえるが、芸術祭発の、サポーターだけでなく、アーティストを基軸に、その強みを作品制作という枠をはみ出して関わってもらうことへの挑戦がはじまった。
*地域コレクティブARTDROPSについては前回の記事も参照ください。
UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川は、小さな地域芸術祭だが、集落の妖精たちと参加アーティスト、サポーターの信頼関係が一番の強みだと思っている。土地の力を顕在化し、埋もれた姿を見せるのは、アーティストが表現する作品だけでなく、集落の妖精たちの関わりの深さも一端を担っている。
小山真徳/盃と沢蟹(UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2021)
直径30m以上、重さ数トンという盃をひっくり返すという最終作業には集落の“妖精たち”が40名以上協力してくれた。しまいには、小山氏をそっちのけで、喧々諤々のケンカがはじまるほどの熱量。(小山氏の制作に打ち込む姿勢や、滞在時での交流により、ケンカになるほどアーティストの作品を集落の大切な宝として、自分ごととして捉えられるほどになっていった。)
江頭誠/間にあるもの(UNMANNED無人駅の芸術祭/大井川2020)
作品を身にまとい、妖精たち自らが動く作品になった。その着替えの様子。写真右から2人目の“妖精”は町議会議員も務めた御年80歳の妖精。みんなにぎやかに楽しそうに着替えをしている。
だからこそ。この関わりと不思議な絆を日常的につなげたいと考え、地域コレクティブARTDROPSを結成した。
アートコレクティブではなく、地域コレクティブ。地域という枠、のようなものに多様な形で関わる多様な人達の共同体。内部の関係性もその時々によって変化していくことを想定している。(アーティストを課題解決のスーパーマン!のように捉えているのではなく、コレクティブの中でも課題を持つものと解決のきっかけを作る側の関係性が常に変化していく)そして、ゆくゆくは関わったことで対価を得られるような形を想定している。
あるようで、ない。いるようで、いない。枠が見えるようで、見えない。
という、文字通り雲をつかむような取り組みなのだけれど、これまでの参加アーティストに声をかけたところ、予想以上に賛同の声をいただいて心強かった。
そんな中開催した「第1回寄り合い」
集落の妖精たちは、オンライン上だけれどもアーティストとの久しぶりの再開にうれしそう。(その顔を見ただけでも、良かった、と思う)
こちらからお声かけしたにも関わらず、アーティストのみなさんが予想以上におもしろがってくれていること、「地域」というものに対してそれぞれ様々な思いを抱いていることが伺えてとても有意義だった。
・こんなことやってみたい!(お茶摘みやお茶刈り、木を伐るなど)
・こんな表現ができるかも!
・地域というものに対して、または当芸術祭の無人駅エリアに関わって感じた地域というものに対する考え
など、様々な意見が出た。妖精たちを基軸に考えてくれている意見やアイデアが多く、絆の深さを感じた。そしてやはり、感覚も考えもアイデアも予測不能でおもしろい。また、自身の表現を軸に据える方々。気持ちや熱量の移ろいもそれぞれだろうから、いかにゆるやかに、バランスよく関わってもらうことを意識せねば。と感じた。
今後は、地域でも企業でも、団体でも個人でも、課題(悩み)を寄り合いの場に持ち込んでもらい、それについてみなで話し合う場を作っていく。
課題というものは、聞いてもらっただけで、既に解決に向かっていくのだと思う。アーティストという人たちは、元々の視点が社会の枠を超えていたり、良い意味で比較や常識にとらわれていない。縦でも横でもない“斜め”からの視点は、地域という枠にとって今後大きな意味を持つのではないかと思っている。
地域コレクティブ「ART DROPS」に加入したい方、課題を寄り合いの場に投げ込みたい方は、ぜひHPをチェックしてみてください。参加メンバーリストは今後アップしていきます。
一緒に、大河の流れとなる「一滴」となっていただけましたら、地域もあなたも、新しい“何か”が潤っていきますよ。
そして、今後のARTDROPSをぜひお楽しみに!