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【創作小説】見上げれば、碧いそら⑥

これまでの話は、こちらのマガジンに収められてます⬇

私たちは、3回戦(準決勝)まで進んでいた。

これに勝てば次は決勝戦だ。トーナメントの表の反対側、因縁の3組とは決勝戦でぶつかる筈。3組も着々と勝ち進んでいた。

相変わらず加藤さんは、ボールを拾いまくり、この頃では私も、レシーブなり、スパイクなりで、参戦して活躍できるようになっていた。

仲間の女子も、レシーブが段々とできるようになってきてる。ところが……

準決勝の試合中、加藤さんの様子が少しおかしかった。いつもの加藤さんではない。ボールを何回も落としていた。

私は、それとなく気を使って見ていた。どうも右手をかばっている。

キャプテンでもある私が タイムをとった。

「タイム! 」

コートの中央に9人が集まる。
コートの外の我が2年6組の応援団もガヤガヤ。その中には、かつて私たちといがみ合っていた6組選抜チームの女子もいた。目を皿のようにしてる。

(3組の卑怯さには、頭にきた! )

と言って私たちを応援するようになった彼女たちも今では、心配して少しの動揺をみせる。

言っておけば、今の試合は、まだ3組ではないが。

加藤さんは、怪我をしていた。
右手親指を突き指していた。

「ごめん、こんなときに……」
加藤さんは、謝る。

「うん、……仕方がないよ。加藤さんなしで頑張るしか」
しかし、勝てる可能性は低かった。
「加藤さんになるべくボールがいかないようにするしかない」
「加藤さん、今までありがとう」
「ここまで、連れてきてくれて嬉しかった……」
萌菜などは、目をうるうるさせている。

加藤さんは、慌てて 手を振って、それを遮った。
「待って、待って、私そんな大したことしてない……」
「それに、……そう。まだ終わってないよ」
私も、続ける。
「加藤さん、左手で、レシーブできる? 」
加藤さんは、こちらを見、なにやら納得して応えた。
「(うなづき)うん、左手だけでリシーブするわ。なんとか、……今までのようには、いかないと思うけど、ボールを上げるくらいまでは出来ると思う」
私も、それにうなづく。
チームの皆は、こちらに注目している。
私はつづけた。
「皆、こうしよう? 加藤さんがなるべく左手でボールを拾う。なるべくよ? 私たちは、加藤さんの拾ったボールを、それと仲間が拾ったボールを、相手コートに入らなかったら、私たちは、拾って相手コートに返し続ける。返して繋げるだけでいい。繋げて、繋げて、繋げていけば、相手も素人。ボールを落とすときが必ず来る。粘り勝ちを狙っていこう! 」
チームの面々がうなづいた。

そのあと、加藤さんは、目立つ治療を拒み(相手チームにバレるから? )スプレーするだけで試合は、再開した。


……見上げれば、碧いそら。



            つづく


©2023.12.2.山田えみこ

つづきは、こちら⬇




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