追悼ーヒロシマ
ずっと昔、夢を見た。
私が、孤児院で働いていた。
幼い少年が、そこには居た。
少年は、髪が金色。
アジアの東のこの最果ての地で、
いつも、建物の入り口に座って、誰か迎えが来るのを待っていた。
「いつか、ママがボクを迎えに来るんだ」
遠い異国から、母親が迎えにくるのを待っていた。
ある晴れた夏の日、
少年は 相変わらず誰かを待って、
建物の玄関に座っていた。
私は、庭の入り口で庭仕事をしていた。
すると、空の向こうから、
一筋の光の線が疾走ってくる。
「あ、ママだ、ママが迎えに来た‼︎」
光は、街中に堕ちて、
爆音がし、
閃光と爆風が襲ってくる。
「危ない‼︎」
私は、少年を庇って爆風から守ろうとするも……
崩れた建物には、人影の黒い灼けた痕。
それは、後々に遺り、その写真は
私に、不思議な感傷を引き起こす……
〈ヒロシマの原爆を悼んで〉