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【シナリオ】「悲劇の回避」(課題ー忘れ物)

人物
高橋郁夫(40)原子力発電所管制室チーフ
向井正(30)オペレーター
鈴木孝則(51)オペレーター
佐々木俊夫(28)オペレーター

○原子力発電所・管制室
  タイトル「原子力発電所管制室」
  5人ほどの職員が、忙しく電子機器の間  
  を走り回っている。
  機械の通知音がする。
  (緊急事態、緊急事態、チリ沖でマグニ
  チュード9の地震が発生した模様!津波
  が押し寄せます!推測時間は23時間後!
   )
  バタバタと職員が走り回る。
  高橋郁夫(40)が叫ぶ。
高橋「急げ!ここに今、到達したら、被害が
 酷いなんてもんじゃない!あの東日本震災
 のようなものを食い止めるんだ!気を引き
 締めて!」
  一同、うなずく。
  機器に向かっていた向井正(30)が叫ぶ
  。
向井「発電停止までは7〜8時間もかかりま
 す!燃料が100℃以下になるまでは、更に
 あと約一日!」
高橋「わかってる!原子炉が、その『冷温
 停止』状態になるまでには30時間以上か
 かる。せめて制御棒を入れて核分裂反応を
 抑制する」
  鈴木孝則(51)が、ロッカーの方へ向か
  う。ロッカーの近くの壁に数字のキーボ
  ードがある。
  パタパタと暗証番号を打ち、開いたロッ
  カーから鍵を取り出す。
鈴木「チーフ!制御棒の鍵です!」
高橋「わかった!」
  佐々木俊夫(28)が、書類棚でファイル
  を漁って、一冊のファイルを渡す。
佐々木「原子炉停止のマニュアルです!」
高橋「うん」
  高橋、一旦、鍵を近くの机の上に置いて
  マニュアルをめくる。そして、管制室を
  出て急いで階段を駆け下りる。

○原子炉制御室
  高橋、マニュアルを開いて制御棒操作の
  鍵をポケットから探す。
高橋「……無い⁉」
  高橋、上を仰いで、
高橋「あ……、あのテーブルの上!!」
  慌てて、壁にある内線電話をとる。
高橋「高橋だ!制御棒の鍵を忘れた!!一刻
 を争う!誰か来てくれ!!」
  内線電話の音が(ザー)とする。
高橋「……通じない」
  高橋、呆然と立ちすくむ。そこへ扉がバ
  ンッと開いて鈴木が駆け込む。
鈴木「(息を切らせて)チーフ!鍵をお忘れ
 に……!」
高橋「(笑顔を浮かべて)鈴木!!」
  高橋と鈴木、顔を見合わせ、うなずきあ 
  う。



*200字詰め原稿5枚の制限の課題。SNSアップに際し加筆修正したため多少オーバーしてます。(修正しないと出せない決まりです)。


トップ画像は、メイプル楓さんの
  「みんなのフォトギャラリー」より、
いつもたいへんお世話になっております。
メイプル楓さまの益々のご活躍お祈りしております。


       ©2023.5.12.山田えみこ







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