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【創作小説】見上げれば、碧いそら⑨
今までの話は、こちらのマガジンに収められています⬇
私は、萌菜に胃腸薬セイ◯ガンをもらってバレーボールのコートに帰っていった。
時間ぎりぎり、間に合った。
加藤さん、市川さん、鮎原さん、江戸川さん、真弓さん、田中さん、吉永さん、が、待ち受ける。
「ごめんなさい! 遅れて! 」
私が、コートに待ち受けるみんなに謝って持ち場に付くと、みんながうなづきあい、試合開始のホイッスルが鳴った。
(ピーッ! )
相手の3組選抜チームのサーブから始まった。
市川さんがレシーブしたボールを、加藤さんが繋いで相手コートに送る。
しかし、相手に返ったボールはこちらに向かってまた返ってくる。
(バシッ)
萌菜にボールが正面衝突する。
萌菜は、顔面を抑える。
「萌菜! 」
萌菜は、手振りで(大丈夫)というフリをする。
(ピーッ)
試合再開。
またしても萌菜が狙われる……。
このチームでも萌菜は特別レシーブが下手だった。
萌菜は、ボールへの恐怖心もある。
「萌菜ーっ! 」
萌菜は、決して諦めなかった。集中攻撃を受けても耐えていた。
(なんか、卑怯だ。つくづく3組の連中……)
私が思っていると ボールが私に繋がれてやってくる。ネットぎりぎりにボールが跳ぶ。
(今だ! )
私は思いっ切りボールをなぐった!
空手チョップだ!!
ボールは、(バンッ)という音を立てて大きく破裂し、相手コートに落ちる。そこに居た全員が目を丸くした……。ボールは真っ二つ。
この場合は、判定はどうなるのか、審判役の先生がルールブックをめくるが、どうやら凡例が無いらしい。
ボールが破壊されるとは……。
先生は、あちこちの審判役の先生に相談しに行った結果、
「やり直し」
に、決定した。
その場の全員がふるふる震えていた。私の眼は何処かの漫画の主人公のように炎でメラメラしていたに違いない。
コート外の男子でさえふるふる。
(萌菜をいじめるな! )
私は、心の中で叫んでいた。
再び、試合が続行され、今度は加藤さんに鋭いスパイクが跳んだ。
(加藤さんなら大丈夫! )
と、誰もが思ったら矢先……
(グキッ)
鈍い音がして加藤さんがくずおれた。
「加藤さん! 」
「加藤さん! 」
チームのみんなが加藤さんのところへ向かう。
加藤さんは、捻挫をしていた……。
つづく
©2023.12.6.山田えみこ
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