思い通りにいかないとき
思い通りにいかない。
なにかひとつ、そういうことがあると、他のことも思い通りにいかない。
それは、まるでドミノ倒しのように。
どんどん、自分の心が倒れていく。
最終的には、自己肯定感が下がり、自分がすごくだめになったような気になる。
なにもする気が起きなくなって、なにもかもがどうでもよくなる。
考えることをやめる。
そんなとき、いつも思うのは、「人はどんな人生を生きようともいつか死ぬのだ」という事実。
病院で働いているからか、いつからか、そう思うようになった。
どんなに輝いた人生を歩んできた人も、平凡な人生を歩んできた人も、苦しい人生を歩んできた人も、人生の過程は関係なく、最期はみんな同じ。
過程の如何は、「死」の前では、何の効力ももたない。
人間は、高い知能を持ったが故に、「なぜ生きているのか」とか「成功しなきゃいけないのか」とか「このままでいいのか」とか「これで正しかったのか」とか色々な葛藤しながら人生を進んでいかなければならない。
葛藤しながらの人生は中々苦しい。
ときに、人間を人間として捉えるのではなく、地球上のひとつの生命体であると考えてみる。たとえば、微生物や、植物、虫なんかと同じ、ひとつの生命体でしかないのだと捉えてみる。
ただ、生まれて、ただ、死ぬ
「火の鳥」の一説を思い出す。
虫たちは自然が決めた一生のあいだ・・・ちゃんと育ち たべ 恋をし
卵を産んで 満足して死んでいくのよ 人間は虫よりも魚よりも 犬や猫や猿よりも長生きだわ・・・の一生のあいだに・・・生きている喜びを見つけられれば それが幸福じゃないの?(手塚治虫、火の鳥、角川書店、2012)