甘い桃
昨日、スーパーで買った地元産の桃。(通称・飛騨桃)
それを、今朝、朝ごはんに食べた夫が、
「久しぶりに美味い桃を食った!」
…とたいそうご満悦だった。
へー、そうなんだ。
と、私も桃にしゃぶりつく。
「うっ、うっ、うっ、うまいー!」
確かに甘くておいしかった。
実はチョッピリ固めだったけど、熟れていないのにここまで甘いのって、なかなか無いんじゃない?まさに奇跡の甘さ。
夫は「ここまで甘い桃は、俺の人生で初めてかもしれない…」と随分大げさなことを言っていたが、いやいや、案外、その通りかもしれないな…と思った。私にとっても、この甘さは人生初体験だ。
今年の夏は雨が降らなかったから、桃の糖度が増したんだろうか?
美味しい桃を味わい、心もホッと満たされていった。
◇◇◇
こうして美味しい桃を頬張りながら、私は、息子がまだ私のおなかの中に居た頃のことを、ふと思い出した。
息子を妊娠中、私は何故か無性に桃が食べたくなり、今の季節に地元の果樹園で、夫に桃を箱で買ってもらったのだ。
桃の箱を一つ持ってお盆に里帰りし、私は実家で毎日桃にかぶりついた。
瑞々しくて甘い桃。
実家に里帰り中は、毎日毎日桃を何個も食べ続けた。
今思えば、とっても贅沢な食べ方だったけど、一生に一度の息子の妊娠期の夏。私は桃をひたすら食べて過ごしたのだった。
どうしてあんなに桃を欲したのか?
今となっては自分でも不思議だったけど、きっとお腹の中の息子が桃を食べたかったのだろう…。
こうして生まれたうちの息子。
幼い頃から果物が大好きだった。
皮をむいてあげると、満面の笑みで嬉しそうに果物を頬張っていた。
今もそう(笑)。
いやはや、懐かしい…。
食の好みって、もしかしたら、生まれる前からもう既に、ほぼ決まっているのかもしれない…。
そう考えると面白いな…と思った。
◇◇◇
とまぁこんな感じで、今朝はうまい桃を食べながら、23年前の夏のことを思い出した。
まだ20代だった私。
瑞々しい日々。
愛おしい記憶。
桃のように甘くて柔らかな思い出。
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