"Expectation Alignment"がうまくいかないとどうなるかを極私的に体験した話
私がnoteを書き始めるきっかけとなった、ちょうど1年前頃にサンフランシスコで参加したWork RebootedというカンファレンスでEmployee Experience領域のあれやこれやを学んで以来、この領域のエッセンスを自分の仕事に注入していくにはどうすれば良いかということを考え続けてきました。
カンファレンスや本からのインプットを、自社の状況に刺さる形のアウトプットに変換して注入する・・・というプロセスが私には難しくて四苦八苦が続いていたのですが、今年になって所属部署として、弊社ならではのユニークなEmployee Experience(EX)を定義し提供していくことに取り組むことが明記され、関連するチームが集まっての定例MTGも始まり、車輪が回り始めたことを実感して非常に嬉しく思っています。
私が1番難しいと感じるのは、「弊社ならではのEXとは」という非常に大きなビジョンを定義していくことと、目の前で解決すべき課題に対してフットワーク良く動いていくことのバランスを取ることで、会社としてばちっと定義を定めてからアクションを取ればそれらのアクションはおのずと定義にalignしたものになるので話はシンプルなのですが、そうするとアクションに至るまでどうしても長い時間がかかってしまい、今目の前の問題はどうするの、ということになってしまいます。
今のところ、関連するチームが集まっての定例MTGでは弊社ならではのEXについて大きなピクチャーを結論を急ぎすぎない形で行い、日々のアクションはその議論を受けながら各チームが自分達の領域でそれぞれ行う、という形でパラレルに進めていて、それがうまく機能していると感じています。EXがどう定義されていくにしろ、それは当然すでに制定されているMissionおよびCore Valuesにalignしたものとなるはずなので、日々のアクションもMission/Core Valuesとのalignmentを常に意識していればこれから定義されるEXにもalignしているはずだという道筋が見えていることも大きいです。
EXを理解し実践していくのに役立つそのものずばりの文献がこちらで、まだ日本語訳が出ていなかった時に私のCulture/EX領域のお師匠さんかつありがたい相談相手のKenji Tomitaさんが書いた神noteが存在します。
この中で、私には"Expectation Alignment"というキーワードと考え方が1番刺さりました。言われてみればたしかに、私たちが喜んだり不平を言ったりするのは、それが意識的か無意識かに関わらず、自分の中の期待値と比較して、それを上回っていたり下回っていたりするからなのですよね。
Expectation Gapを生まないためには、体験を提供する側が発信する内容と実際の体験に差異がないことが重要で、そのためには何をどう実現するためにどんな体験を提供しようとしているのか丁寧に明確に説明すること、特にWHYの部分をどれだけしっかり説明するかがキモだと感じています。
・・・というようなことをつらつらと考えていた時、最近自分の身に起きていることもまさにExpectation Gapだわ!と結びつきました。
去年の後半、本屋をぶらぶらしていた時に偶然『銀河ヒッチハイク・ガイド』という本に出会いまして、これは相当に幸運なめぐり逢いだった!!!と神様に感謝するほどお気に入りの本となりました。
たまたま本屋で手に取った出会いだったので、本書のバックグラウンドは何も知らず読んで気に入り、会社の読書好きメンバー会で何気なく紹介したところ、実は知る人ぞ知る傑作であり、Googleに「人生宇宙全ての答え」と打ち込むと表示される答え(数字)はこの本から来ているんだよ、というトリビアもそこで教えてもらい、なんて素敵な本に出会えたんだろう!!と感激を新たにしたわけです。
この本はシリーズ化されていて、1冊目を読み終わった私はすぐに2冊目の『宇宙の果てのレストラン』を買い求め、読み始めました。
ところが・・・(まだ半分くらいまでしか読んでいませんが)『銀河ヒッチハイク・ガイド』では読み始めてすぐに(そのおバカな世界観に)ぐっと引き込まれたのが、『宇宙の果てのレストラン』では今のところその境地に至っておらず。。(個人の感想です。)「もうすぐ(そのタイミングが)来るかな、来るかな」と読み進めていくうちに、気づいたらいつの間にか物語自体を楽しむというより、"『銀河ヒッチハイク・ガイド』で感じたあの瞬間"の再現を求めて読み進める・・・という状況になってしまいました。
これ、完全にExpectation Gapです。そしてGapを認識した私は、「3冊目は最初から買うんじゃなくて、まず図書館で借りて読んでみて、家に置いておこうと思うくらい面白かったら買うことにしよ」と思っています。(家には、何回も読み返すほど気に入る本しか置かない主義。)このシリーズに対するエンゲージメントが完全に下がってしまったわけですね。これがEXとして起きてしまったら・・・不幸でしかない。
そう考えると、読んでも読んでも期待を裏切らないどころか更なる満足感を与えてくれる京極堂シリーズは本当に本当に偉大だと改めて感じたのでした。(個人の感想です。)