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【脳波解析】脳波(EEG)とは

こんにちは!うたがわえみです。脳波解析のあれこれをまとめています。

 今回は、「Analyzing Neural Time Series Data Theory and Practice」(Mike X. Cohen and Jordan Grafman)のChapter2をベースに、そもそも脳波って何?について勉強していきます。

脳波(EEG)とは

 脳波(EEG)とは、神経細胞の活動、すなわち電気信号のことです。情報処理の際には、関連する細胞群が同時発火し、ある脳部位が活発に動いてる時、その周辺で大きな電位(総和)が観測できます。これを計測したのが脳波です。特に、外部からの刺激にかかわらず、常時発生している電位のことを自発電位といいます。一方、外部刺激に対する電位を誘発電位といいます。

脳波測定のメリット/デメリット

 それでは、脳波測定のメリット/デメリットはなんでしょうか。脳波測定のメリットとして以下のことが挙げられます。
1) 時間分解能が高い(10-数100msオーダー)
2) 神経細胞(ニューロン)の活動を直接(一時情報)計測できる
3) 多次元的(時間、空間、周波数、強さ、位相)な情報を含んでいる
4) 電極の貼り付けを除き、非侵襲計測
5) 大掛かりな設備がほとんどかからない
6) Brian-machine interface (BMI)の設計がしやすい
7) 脳回を測定しやすい

 一方、EEG測定にはデメリットもあります。
1) 空間分解能が低い(cmオーダー)
2) 脳溝及び大脳皮質の壁面の測定がしにくい(神経細胞のむき、信号の減衰)
3) ノイズ環境に大きく依存
4) 深部計測が困難
5) 実験準備(電極の貼り付け)に時間がかかる場合が多い

 ここで、脳回、脳溝という言葉が出てきました。脳回とは、大脳皮質のしわのうち、山になっている部分をさします(下図参照)。電気信号は大脳皮質に対して垂直に発生し、脳回では、神経細胞が電極に対して垂直に並んでいるため、計測がしやすいです。脳溝とは、大脳皮質のしわのうち、谷になっている部分をさします。脳溝では、信号が電極から遠く、減衰するため、脳波計測が難しいです。また、大脳皮質の壁面(脳回と脳溝の間?)についても、神経細胞が電極に対して並行に並んでおり、脳波では理論上計測が不可能です。

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EEGの時間分解能、空間分解能

 時間分解能、空間分解能とはなんでしょうか。それぞれ、resolution/precision/accuracyの側面から考えることができます。
時間分解能について
resolution:サンプリングレートなど
precision:いわゆる時間分解能(詳細はChap. 10-14)
accuracy:タイムラグ
空間分解能について
resolution:電極の数
prcision:時間分解能(のようなもの)
accuracy:電極がどれだけ神経細胞の活動を測れているか

 EEGは時間分解能には優れていますが、空間分解能はfMRI(msオーダー)に比べて低くなっています。それは、距離による信号の減衰や, 生体組織(頭骨, 頭皮など)の導電率が不均一であるために生じる信号の歪みが原因と考えられます。そのため、EEGではメゾスコーピック(数mm^2〜数cm^2)からマクロスコーピック(数cm^2以上)の神経ネットワークを計測するのに向いています。

脳波情報の評価で気を付けること 

 EEGの評価について、気を付けることが2つあります。1つ目は、測定の方法や計測時の抵抗値など、様々な理由でVoltage Valueは変わるので、数字自体には意味がないということです。2つ目は、バリューには個人差があるため生波形をみても意味がないということです。そのため、脳波情報を読み取るためには、下処理が必要となってきます。
 さらに、気をつけなければいけないことは、あくまでも脳波計測は活動源推定をしているということです。脳波を測定しても、それはあくまでも頭皮に流れてきた電流を計測しているのであり、直接的な脳活動とは言えません。そのため、計測したデータを元に活動源を推定する必要があります。

最後に、このノートにスキを押してくれると、とても嬉しいです!ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
<謝辞>
このnoteを書く上で、弊ラボの原あゆみさんにご協力いただきました。ありがとうございます。




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