2024年8月前半日経平均相場の振り返り
① 日経平均チャート
8月前半相場を振り返ると、日経平均株価は7月31日より8月9日まで8営業日連続で1日の値幅が1000円を超えた。
外国為替市場の動きや日銀の姿勢の見極めを巡り相場の揺れが収まらない。
② 日米金利差縮小
日銀の金融政策決定会合の発表があった7月31日は金利のある世界に回帰していくことを好感されたものの、1日には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が9月の利下げもありうるとの発言があり、円高・ドル安の動きに拍車がかかり、日経平均株価は1日に975円安、2日には2216円安となった。
③ 歴代2位(3位)の下落幅
この下げ幅は1987年10月20日に起きた「ブラックマンデー」の急落(3836円)に次ぐ歴代2番目の大きさだ。
1日に米国株が急落したのと同時に、高止まっていた米長期金利が半年ぶりの4%割れに急低下したのは、米景気の先行きに雲がかかる経済指標が相次いだからだ。
米新規失業保険申請者数が雇用環境の悪化を示したほか、米サプライマネジメント協会(ISM)による7月の製造業景況感指数も不況を示す水準が4カ月連続になった。
インフレ抑制を優先した政策の転換期待が景気の軟着陸シナリオの支えだったが、むしろ下振れリスクへの懸念の方が先立ち始めている。
④ マグニフィセント・セブン
世界的なハイテク株の揺らぎも重なっている。
巨大テック銘柄7社、「マグニフィセント・セブン」(アップル、アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフト、エヌビディア、テスラ)の時価総額は7月10日のピーク約16兆9800億ドルから15兆1000億ドルに、約1兆9000億ドル目減りした。
このような背景が、円高と重なり株価の下げが加速した。
⑤ 歴代1位の下落幅
そして週明け5日の東京市場で日経平均株価は4451円安となりブラックマンデーを上回り過去最大の下げとなった。
下落率は12.4%と当時(14.9%)に次ぐ2番目である。
前週末に発表された7月の米雇用統計では失業率が市場予想に反して悪化。
⑥ ドル安円高
米景気が悪化するとの懸念からドル安・円高が進むたびに日本株が下げ幅を拡大する共振が起こり、暴落となった。
この日、前場の引けで日経平均は1663円安と9時台から見れば、やや下げ幅を縮めて終えた。
しかし午後に入ると相場のムードは一気に変わった。
理由は急激な円高進行だ。
朝方に1ドル=146円台で推移していた円相場は午後1時過ぎに143円台をつけた。
これまで円安に下支えされてきた日本株に、今までの逆流が一気に来た。
円高が一段と進むにつれ、日経平均は下げ幅を広げた。
午後1時47分には3000円安、2時24分には4000円安と下落が止まらない状況に。
2時53分には4753円安と5日の取引時間中の最安値を付けた。
⑦ 信用取引の買い残高
信用取引をおこなう個人投資家には先週からの急落で追証の差し入れ義務が発生。
午後に入ると下げに耐えられなくなった個人の処分売りも出た。
信用取引の買い残高は4.9兆円と約18年ぶりの高水準となっていた。
東証プライム市場では全体の99%の銘柄が下げ、約6割の銘柄で下落率が10%を超える暴落となった。
⑧ 日経平均VI
この下げで日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)は70.69に急伸した。
終値ベースでは11年3月の東日本大震災直後(69.88)や20年3月の新型コロナウイルス禍60.67)の市場混乱時を上回り、08年秋の米リーマンショック時(92.03)以来の水準となった。
⑨ プットオプション
ちなみにプットオプションは久しぶりの大暴騰となった。
8月限のオプションは残存日数が3日しかない状況でP31000円は、前日終値24円であったが終値は1501円高の1525円、P31250の終値は1592円高の1620円、P31500は2249円高の2280円、P31750は2300円高の2335円と宝くじとなった。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?