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「笑顔」は周りを明るくする

科学が突き止めた運のいい人 中野信子
 「文サロ」の今月の課題本です・エッセイを書きました。
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「運」て何だろう。
 「運」がいいとか、悪いとか簡単に使う。ラッキーと云うとライトな感じもするが、私は少し深刻にとらえてしまう。
 人生を正反対に歩んだきょうだいの話を思い出した。
度々商品を当てる弟のSはくじ運がいいと羨ましがられていた。
30年前のこと、Sは商店街の抽選で東南アジア旅行に当たった。しかしSは旅行に関心がなく当選は嬉しいが行くのに迷ったという。兄のYは旅行好き。
そこで代わりに行くことに。
 Yにとってこの旅は人生の大きな流れを作るきっかけになった。旅の魅力にひかれその後旅行社に勤めることになった。またYはこの旅で後30年も続く親友M氏に出会った。その後仕事(旅先)で知り合った女性と結婚し、子どもも恵まれた。
 M氏との友情は続き、きょうだいのような関係の付合いを続け充実した老後を送っている。
 一方東南アジア旅行券を兄に譲った弟のS は、仕事も転々とし、独身で友人もなく、、70才で孤独死した。3週間も誰にも気づかれず一人寂しく横たわっていたという。
 くじ運がいいと云われたSは孤独な人生だった。
兄と弟とはいえ、同じ人生を歩むことはないのは当たり前だが、生きている間の人間関係や生き方を細かく追ってみると、Sは好奇心が薄く、無気力で夢を持つことがなかった?・・。
 二人の育った家庭環境は経済的には比較的裕福だったが、親は子供に全く関心がなかった、兄弟それぞれ生きるのに必死だったという。兄のYはもともと、外国に行きたいという夢を持っていたそうだ。育った環境は同じでも、生き方はそれぞれだ。
 Yは云った、兄としてもっともっと関わっていけばよかった。気づいてあげればよかったと。
人の生き方をみて、運がよかった悪かったと判断するのは失礼なことだと思うが、示唆しているものを感じてしまう。

 「運」て何だろうか?
 私の身近にカラカラと声を出して笑う人が3人いる。その人の周りにはなぜか人が集まる。こちらもつられて、つい笑ってしまうのだ。声だして笑うことは周りを明るくする力があるのだとつくづく思う。

 運のいい人になりたいと誰もが願うことだが、少なくとも親は子どもに「私の子どもに生まれてくれてありがとう」と自己受容出来る環境を作ることではないか。そして笑うことだと思う。
 

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