見出し画像

札幌五輪招致に失敗した理由は北海道が発展できない理由が詰まっていると考えるべきである

いつからか道新は五輪よりもラピタス(千歳市に工場を作る半導体会社)に執心しており五輪にはさっぱり興味がない感じでしたが、大本営である道新が「撤退」とまで言い切るのだから、形ばかりの「招致」はあっても首都機能移転のように数人の形ばかり情報収集をする閑職部署が存在する形になるのでしょう。

こちら調査記事が詳しい(全文読めるのは会員だけ)のですが、おそらく、招致活動には電通が大きく関わっていて、電通がパイプ役を努めていた可能性は高いと思いますが、それが汚職で潰れてしまいパイプがなく招致活動ができなくなったのいうのがIOC関係者の言う「東京五輪の汚職が悪い」という意味は「世論の反対ムードの高まり」よりも大きいものがあると思います。

しかしいくら関係者や報道が「汚職が原因」と言っても、たまたま招致失敗という風船爆弾ゲームが爆発したのが汚職なだけで、それ以上に失敗した伏線がいくらでもあげられるように思えます。

表立った説明としては、汚職を理由に30年から34年招致に移行する方針を固めたことがIOCの不信を買い、「招致の事実上断念」と捉えられたとされ、それが欧米での2都市同時決定と、2038年のスイスへの「優先的に対話」という事実上の内々定という異例の決断を促しましたと言います。

コロナ禍で招致活動ができないことを口実にした延期を道新は「特別待遇」と称していますが、私の個人的な感想としては「本当にIOCは札幌で五輪をやりたかったのか」と思ってしまうのです。本当に相思相愛ならさっさと決めていたと思いますし、実際、2032年の大会はブリズベンしか立候補都市がない事情はあれど、コロナ禍真っ只中の2021年の東京で開かれた総会で決まりました。

あくまでも札幌は保険としてキープする対象で、欧米で複数の候補都市が確保できれば捨ててしまう対象であり、開催都市を確保する時間を作るために延期したのではないかと思うのです。

招致時期への延伸は今回が初めてではなく、2019年に、26年から30年へ1度以降をしています。財界から「新幹線開通に合わせたい」という声や当時東アジア開催が続いたことへの懸念からですが、表向きの理由は「胆振東部地震の復旧活動」というものでした。

しかし、五輪というのは都市単位で開くものです。確かに震源地の被害は莫大なものでしたが、札幌の被害というのは一部液状化した新興住宅街があったことと、ブラックアウトくらいしか有りませんし、21年には実際マラソン競技が開かれています。

こうした姿勢は「ガイジンだからわからない」とたかを括ったのでしょうが、そうした下心はIOCにも伝わっているはずで、身内の事情による招致時期の延期(しかもその後更に延期をする)というのは本気度を疑われても仕方が有りません。

招致には市民の賛成が必要とは言いますが、いくら素晴らしいビジョンを投じても、こうした誘致活動は恋愛や結婚のようなもので、時間をかけてしまえば現実や不安が出てきてしまい熱は下がりビジョンが下がってしまいます。いくら不運があったとしても、招致に9年も掛けるのはあまりに時間をかけ過ぎ、それらの不運を乗り越えるほどの熱量を失っていったとも言えます。

また、相思相愛でも結婚は敵わないという例も、お見合いで仕方なく結婚してもそれが将来の伴侶となる事はいくらでもあります。要はめぐり合わせではあり、それを引き合わせる努力をどれだけしたのかが疑問です。

「東京と比べて札幌はJOCの本気度がなかった」と荒木田裕子氏は指摘しますが、荒木田氏は元バレー日本代表選手で2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会副会長を歴任し、現在でもJOC国際委員を勤める日本のオリンピック・ムーブメントの中心人物の一人とも言える人物からもされていますが、「うちで決まり」というムードがまん延して、結局招致活動に失敗した名古屋オリンピック構想のような慢心があったように思えてなりません。

半ばこじつけな主張ですが、IOCが札幌を見きった姿は、日本ハムファイターズが資金や集客など様々なリスクを承知で、喧嘩別れする形で札幌ドームから北広島に移転した姿に似ているとも言えるし、9年という時間を掛けて一切の成果を挙げられないのは、10年以上危機が叫ばれても冷淡に対応しているJR北海道の問題とも似ているように思えます。

そういう視点で見れば、なぜ「北海道が発展しないのか」いう理由が今回の件には詰まっているとも言え、いくら身も蓋もない言い方をすれば「汚職のせいで電通とIOCのコネが使えなくなったから招致に失敗した」としても「汚職が悪い」で形付けてはいけない話だと思うのです。

仮に「汚職が悪い」ですべて形付けてしまえば北海道の未来はもう無いと言っていいでしょう。

いいなと思ったら応援しよう!